違和を感じてしまった ページ30
耳に入ってくる違和感に気付き、慌てて立ち上がる。椅子が大きく引かれ、その音にみんなの目が私に集まる。
『ど、どちら様でしょうか、』
誰にも拾われることのなかった柔らかい声。ミルクティー色の綺麗な髪。育ちの良さが現れる仕草でコーヒーカップを持つのは、貴方は、
「森の奥で司書をやっている、エーミールと申します」
違和感は、違和感だと気付いた時には、もう遅い。
「アリス、貴方夢を見たんでしょう」
司書だと名乗ったエーミールと向かい合わせに座り、背筋を伸ばす。彼の声は学生時代の先生を思い出す。そして彼の名前。不思議の国の住人には似合わない、ある物語に出てくる名前だった。非の打ち所がない、青年。
嫌な予感がした。
・
・
「それも、元の世界の夢を」
そうか、つまり君はそういう奴なんだな。
「…アリス、」
『夢の内容まで話していないのに、どうして？』
「アリスだけではない、私の目に映ったもの全てが、わかってしまう」
音を立てて本が閉じられた。しっかりと、栞を挟んで。
「アリス、貴方は思い出したのではないですか？」
『…何を？』
・
・
「元の世界で、すべきことを」
誰かが、喉を鳴らした。
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@眠猫。(プロフ) - 戯於さん» 私には勿体ないお言葉ばかりで…。ありがとうございます！ 目まぐるしく変わっていく展開ですが、隅々まで読んでいただき光栄です。少しでも長く、貴方の中にこの作品が残りますように！ (2022年8月7日 18時) (
レス) @page48 id: 91126b09d4 (このIDを非表示/違反報告)
戯於 - わぁあ…文に才能がありすぎます、ガチめに泣きました…。世界線の変え方とかhappy endじゃなかったときの絶望感とかの書き方が…もう…めっちゃ凄いです。ラストが凄い好きでした。多分一番好き。もう…最高の物語をありがとうございます…！ (2022年8月7日 10時) (レス) @page47 id: 197ff74d89 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - チーズ.さん» ありがとうございます！私には勿体ない言葉です…。展開を意識しすぎて文章はお粗末になってしまったかもしれませんが、大変嬉しいです。ありがとうございます！！ (2021年8月17日 22時) (レス) id: f602ea559e (このIDを非表示/違反報告)
チーズ.(プロフ) - 普通にこういう方達やなくても色んなジャンルの小説書いて欲しいレベルで凄いですね！！まさかこうなるのかと圧倒されました！いやぁ、凄ぇ…… (2021年8月16日 7時) (レス) id: 994e308db6 (このIDを非表示/違反報告)
@眠猫。(プロフ) - パソコンの精さん» ありがとうございます！いいえ！とっても伝わりましたっ！！原作の方もとってもかけがえのない、大切な物語です。私の心の中にもいつもあります。それをパソコンの精さんにも知っていただきとても嬉しいです！新作の方もよろしくお願いします！！ (2021年8月12日 22時) (レス) id: f602ea559e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：@眠猫。 | 作成日時：2021年5月3日 18時
