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「ご存知かと思いますが、僕は影鷹 祇園。最近この街に越してきました」
レンが出した紅茶を一口飲むと、ことり……と僅かな音を立ててテーブルにカップを置いた。
・・・★・・・
大時計の振り子のように、ゆっくり、淡々と語られた彼の事情は、普通の家庭で育ったぼくにとってはまるでドラマのような非現実さを感じた。
まぁ、そもそもこの状態が非現実的すぎるんだけどね。
「……へぇ。結構大変だったんだねぇ、君」
レンも、いつの間にかぼくの隣に座って影鷹くんの話に耳を傾けていた。
「ええ、まぁ……。でも、正直なところ、両親がいようがいまいがどうせ鷹匠として影鷹家を継ぐことになったと思います。母が植物学の道に進んだことで僕しかまともに継げる人間がいなかったので」
へぇ……。たしかに『影鷹』って『鷹』って漢字ついてるし、そういうお家柄なんだね。
名のある家って大変だね。
「それで。聞きたいことがあるんだけど」
レンが、少し体を前のめりにして問いかけた。
「なんで、この家……白神家を頼ったんだい?まずは親戚を説得!だろ」
「あはは……。ごもっともです」
困ったように笑う影鷹くん。
「実は僕……。
……自分の身体を、興味本位で改造してしまったんです」
「「…………はい?????」」
一瞬、彼の言葉の意味が分からず、レンと二人して間抜けな声を出してしまった。
「えっと、ですね。簡単に言うと……。人体改造です」
いや、全然簡単になってないし!!むしろもっと意味不明になったよっ!?
「えっとさぁ、つまるところ君は僕たちのことを知っているのかなぁ?」
うふふ、とまた気の狂ったような声がした。
は????レン、何言ってんだよ?影鷹くんが、ぼくたちが能力者だと知ってるってこと?
「えーっと……。そういうことです。過去にとある『能力者』と名乗る人物に会ったことがあって。それ以来、能力者になれたらどんな素敵だろう、と……」
え、え、え。
あ、あのさっ!?なんで憧れのかさっぱりだよ!?!?
「それで、研究を重ねて開発したんです!一番簡単なのは『火炎系』だとその人が言っていたので、まずは能力者の遺伝子をいただいt」「ちょっと待ったぁ!!!」
すとーっぷっっ!と大きな声を出して、レンが影鷹くんを遮った。
「能力者の遺伝子……だって……?それって、『アイツ』しか手に入れられるわけがないじゃないか……!」
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愨狼(プロフ) - i7Dada1aさん» そんな感じですー!今後色々新情報が更新するかもです……!あ、でも「二人の死神」の方はi7Dadalaさんの好きな感じで書いていただいて全然OKです!!(●´ω`●) (2022年4月5日 8時) (レス) id: d53f4adb47 (このIDを非表示/違反報告)
i7Dada1a(プロフ) - 二人の死神を読んでくださり、ありがとうございます。26話→なるほど。悪魔をグーとするなら、神はチョキ、能力者はパーですネ。 (2022年4月4日 19時) (レス) @page27 id: 8b625a5a7f (このIDを非表示/違反報告)
愨狼(プロフ) - i7Dada1aさん» ありがとうございます!見に行きますー (2022年4月4日 16時) (レス) id: d53f4adb47 (このIDを非表示/違反報告)
i7Dada1a(プロフ) - 書きました。タイトルは「二人の死神」です。 (2022年4月4日 15時) (レス) id: 8b625a5a7f (このIDを非表示/違反報告)
愨狼(プロフ) - i7Dada1aさん» いいですよー(≧∇≦)bi7Dadalaさんの死神さんも知りたいです! (2022年4月4日 9時) (レス) id: d53f4adb47 (このIDを非表示/違反報告)
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