その娘、怪盗につき。

裏の裏は表。4 ページ28

「警察の人もデスクワークするんだ…」



「当たり前だ、わしだってするんだからな」



「でも警部は専ら外回りでしょ？」



「外回りって、お前…ルパン逮捕を営業みたいに…じゃない、ここがわしの机だ」




広いオフィスに並んだデスク、行き交う人達はいかにも仕事ができそうな感じであり彼女の想像していた警察官とはかなり違った印象を受けた。
銭形の机は数あるうちの一つで、ある程度整理整頓が行き届いていた。それもまた彼女には意外であった。




「警部…あの、ここ僕の机なんですが」




「ええ！？あーそれは、それはすまん！ハハハ！A次はダイヤの安置場所だったな！」



「ちょちょ、腕がちぎれるー！」




スーツ姿の男性が申し訳なさそうに銭形に引っ張られていくAを見送る。彼女ではなくとも気づいてはいたであろう事だが警部の机があのようなはずは無い。日々ルパン逮捕に出ていれば書類も溜まるというものだ。




「留置所、オフィスと続いて金庫なんだ、観光みたい」




「金庫で不審なことをすればすぐに留置所に入れるぞ？」




「遠慮しときます、ここじゃカツ丼なさそうだし」




「わしも日本食が恋しくなる時はあるな、そういや五ェ門なんかはどうしとるんだ？」



「自分で蕎麦打ったりしてますよ、あとは私がネットショッピングで取り寄せたりとか…警部はそういうのしないんですか？」



「認めたくはないんだが、そういうの疎くてな…」




確かに、ルパンがよく「とっつぁんは古いからなー」と言っているのを見かけることはあった。でも「そーゆーとっつぁんから学ぶところもあったりなかったりすんだぜ？」とも。何はともあれ、館内を歩く異色のコンビは他の警官の注目の的となりながら金庫室へ向かった。

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