その娘、怪盗につき。

裏の裏は表。 ページ25

「それで私達に協力を？」



「そうだ、わしもルパン逮捕に命をかけているとはいえ流石に今回の事件、彼奴がやったとはどーしても思えんのだ」



逮捕以外でパトカーに乗るのは初めての経験で物珍しそうに車内を見渡すA。運転席には警官と助手席には銭形がいる。



「協力を要請したのは「私達」だけど警部に着いてきたのは私のみと」



「全く、なんて薄情な奴らだ、それでもルパンの仲間か！？」



「ま、まぁまぁ、多分次元も五ェ門もそれぞれ調べてくれてるんじゃないかな…？」



「そうか？」



2時間程前、アジトに銭形がやって来てA達にとある新聞の記事を見せたのだった。
見出しには「残酷！強盗殺人！犯人はルパン三世！」とあった。よくよく読んでみると、ルパンは名家の家宝と呼ばれているダイヤを盗もうとした。しかし計画が失敗してしまい、その家の人間を何人か殺害したというものだった。
次元、五ェ門、Aは揃って彼と事件の関係を否定したが当の本人がその場にいなかった。
ルパンは1日前に「ふーじこちゃんとおデートなんかしちゃったりしなかったりしてくるー」と言ったっきり帰ってきていない。連絡もしてみたが、「現在この電話は電源が入っていないか…」というメッセージが流れるだけであった。そこでAは捜査協力を受けることにしたのだ。それも銭形から「名探偵黒猫」と名前を授かって。



五ェ門は「拙者、ルパンを信じてここで待つ あやつが帰ってきた時に誰もおらぬようでは困るだろう」と待機。



次元は「俺も疑っちゃいねえし…何より名探偵って聞くとなーんか悪寒がするんだよな」と拒否反応。



「お前らそれでも！」と憤る銭形を抑えてパトカーに乗せて今に至る。



「それじゃ、現場検証からですか？」



「おっと、この事件が解決したらお前らはまとめて逮捕する事になってるからな」



「えー、謝礼金とかでないの？バイト代とかー」



バカモン！そんなものをお前らに払えるわけないだろうが！と言う銭形の怒号と共にパトカーは現場に向かった。

裏の裏は表。2→←復讐には復讐を。8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す