帽子と黒猫。2 ページ3
「もう来ない?」
「や、まだだろうな」
彼が下の階から屋上に繋がる階段の方に目を向けると、扉を破るようにしてパトカーが湧いてでた。まさに湯のように。
「どうするの!?」
「どうするのって、こうしかねえだろ」
屋上の端にある段差で車をはね上げ隣の屋上へ飛び移る。飛び移る度ガウン、ガウンと車に良くない音がしている。
もうむちゃくちゃだ。アメコミだってこんな展開許しそうにない。
「逮捕だーー!!!」
しかもそれに着いてくるパトカーもパトカーだ。
乗ってる人物に問題があるのだが、きっと運転手は半ば脅されて運転しているだろう。
しかし、途中で脱落したのか何台か数は減ったようだ。
「さーて、いっちょ仕上げと行くか!」
「うわまっ────」
さっきより高い位置からの急降下。戦闘機のパイロットだって急降下で気を失うことがあるのにきっと一般人がこの高さから車で落ちたら失神すること間違いなしだ。むしろ失神したかった。急な下り坂を落下の勢いを利用して突っ走る。ジェットコースターより危険なアトラクションだ。
「次元!前々!救急車!!」
「なにぃ!?」
少し先の交差点を緊急車両(この場合救急車を指す)が横断しようとしているところだった。下の道路を走っていたパトカーが合流したことで後ろのファランクスは元の数に戻った。
全力のブレーキで助手席から身体が投げ飛ばされそうになるのを片手で抑えてくれる彼。
その手にしがみつきながらも最悪の事態から目を背けようと自分の手で顔を覆う。
後ろでも急ブレーキの音が聞こえるのでどちらにせよ助からないかもしれないという不安が過ぎった。
「何とか、セーフだな」
支えてくれていた手が頭に乗るのを感じて目を開けると交差点中央ギリギリで車は停車。救急車が通り過ぎた。一方後ろではパトカーが山積みになっている。
「はははは、はぁ〜〜……」
乾いた笑いは安堵の溜息に変わっていた。
「とっつぁん、悪いが今は俺とコイツしかいねーんだ、ルパンとは別行動なんだよ!そっちをあたってくれねえか!」
後ろのパトカーの山に声をかけると緩やかに車を発進させた。さっきのドライブのせいで車はガタガタ言っているが。走行には問題ないのだろう。
「あ、五ェ門拾って行かなきゃじゃない?」
「まーた迷子んなりやがって…スマホ意味ねーじゃねえか」
「連絡つかないね」
どこを探そうか、と言いながら車は闇に消えて行った。
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おすし - Part3私も結構好きなんですよね。私は最近原作の絵が気に入ってます。脚短いの、分かります笑 アニメシリーズだととてつもない長さのありますからね笑 更新楽しみにしてます! (2020年3月8日 15時) (レス) id: ecd32e4b78 (このIDを非表示/違反報告)
くろまめ(プロフ) - おすしさん» コメントありがとうございます!あとがきのまえがきまで見てくださって....作者としても大変嬉しいです。やはりどのテレスペ、映画を見ても同じシリーズだと思えない程色々と差異がありますよね。私は最近カリオストロをみると「脚短いな〜」と思います(笑) (2020年3月7日 22時) (レス) id: ce0f0d03f0 (このIDを非表示/違反報告)
おすし - 長文お邪魔しましたm(_ _)m (2020年3月1日 18時) (レス) id: ecd32e4b78 (このIDを非表示/違反報告)
おすし - 楽しく読ませて頂いています。私も初めて観たのが『カリオストロの城』でしたね〜。その次に観たのが『隠された空中都市』で同じシリーズだという事に驚きました。次元大好きなので楽しく読ませて頂いています。あとがきのまえがきを更新と共に楽しみにしてます笑 (2020年3月1日 18時) (レス) id: ecd32e4b78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろまめ | 作成日時:2019年12月31日 22時