黒猫は半宵に鳴く。2 ページ14
「そういや、次元」
「なんだ」
ルパンは機嫌をなおしたらしく、にっこりという表現がふさわしい。次元は相変わらず良くもまあ女ごときでそんな、と言ったふうである。
「昨日の夜、猫がやけに騒がしくなかったか?」
「猫?」
「何時頃だっけか、俺が1人になっちまったぐらいからかな…もーにゃんにゃん騒がしいのなんのって、寝られやしねえんだもん」
「へえ、俺は全然気付かなかったな」
猫、夜に猫の声など聞こえただろうか?彼女は不思議に思った。昨夜は嵐だった。軒下に逃げ込んだ猫が鳴いていたのだろうか?
「ほんじゃお前はさぞかしよく寝てたんでしょーね、きっと子猫ちゃんだぜ?嵐が怖かったんだろうな、何かに襲われたみてーに鳴いてた」
「そいつは…可哀想にな」
そこまで言って次元は口角を上げた。
彼は普段帽子の影になって傍からは目が見えない為、表情は目からではなく口から読み取ることが多いのだ。
目は口ほどに物を言う、の逆だ。この場合そういう意味では使わないし、むしろ口で物を言っている普通の状態になってしまうが。
とにかく彼は笑っている。
「ルパン、その、子猫ちゃんが可哀想なら助けてやればよかったじゃねえか びしょ濡れになってるか…何かに食われちまってたかもしれねえ」
「いやいや、俺は傷心中でそんなことできる余裕なんかなかったっつーの」
「そりゃあ悪かったな」
「ほんと夜ぐらい静かに寝かせて欲しいもんだぜ」
「おめーが言うのか、おめーが」
「なー、Aちゃん」
ルパンと次元が向き直るとお盆を抱いたまま顔を真っ赤にしているAがいた。
「しっ、知らないっ!!」
そう言い残して彼女は走って部屋を出ていった。
お盆を持ったままだった。
「Aちゃんってば、かーわいーんだから…次元お前大事にしろよー?」
「お前さんと違って充分可愛がってやってるさ」
「あらそ、羨ましいこった」
「やらねーからな」
最後の一言だけは本気だなコイツ、と感じたルパン。
どうやら黒猫はいい飼い主を見つけたようである。
後から部屋に戻ったAが連れて来た五ェ門に2人がお説教をされるのはまた別の話。
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おすし - Part3私も結構好きなんですよね。私は最近原作の絵が気に入ってます。脚短いの、分かります笑 アニメシリーズだととてつもない長さのありますからね笑 更新楽しみにしてます! (2020年3月8日 15時) (レス) id: ecd32e4b78 (このIDを非表示/違反報告)
くろまめ(プロフ) - おすしさん» コメントありがとうございます!あとがきのまえがきまで見てくださって....作者としても大変嬉しいです。やはりどのテレスペ、映画を見ても同じシリーズだと思えない程色々と差異がありますよね。私は最近カリオストロをみると「脚短いな〜」と思います(笑) (2020年3月7日 22時) (レス) id: ce0f0d03f0 (このIDを非表示/違反報告)
おすし - 長文お邪魔しましたm(_ _)m (2020年3月1日 18時) (レス) id: ecd32e4b78 (このIDを非表示/違反報告)
おすし - 楽しく読ませて頂いています。私も初めて観たのが『カリオストロの城』でしたね〜。その次に観たのが『隠された空中都市』で同じシリーズだという事に驚きました。次元大好きなので楽しく読ませて頂いています。あとがきのまえがきを更新と共に楽しみにしてます笑 (2020年3月1日 18時) (レス) id: ecd32e4b78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろまめ | 作成日時:2019年12月31日 22時