君は彼氏だけど彼氏じゃない【轟焦凍】 (ページ47)

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結局、その日は焦凍と話せなかった
顔を合わせる事すら気まづくて朝、起きるのも億劫だ

起き上がる気になれずベットの中でスマホを見る
するとメッセアプリの通知が来ていた

それは焦凍からだった
震える手を気にせずトーク画面を開く

＿『ごめん』

一言、そう送られてきていた
なんて返信すればいいのか分からず私はそのまま画面を見続けた

なんて伝えればいいのだろうか
私は別に怒っていない

もちろんキスされて困惑しているが嫌だった訳じゃない…のだ

それを伝えるべきなのか
だがそんな事を言って引かれてしまわれないだろうか
焦凍はただ雰囲気でキスをしてしまっただけなのかもしれない

そう思うと怖かった

だから私はなかなか1歩を踏み出せないでいた
ただ、｢貴方のことが本気で好きです｣と伝えればいいだけなのにずっと自分自身の気持ちを知らないフリをして

"昔"のトラウマにずっと縛りつけられて

そんな自分が情けないとも思えてきた

でも、声が聞きたい
私が大好きな低く甘いあの声

電話をかけてみたい

かけるだけなら簡単なのだ
ボタンを押せばいいだけの話だから
だけど押す勇気が無い

…後悔して終わるだけ

それを1番分かっているのは私自身のはずなのに

どうしても1歩が踏み出せない

「…しょーと…」

君の名前をもっと呼んでみたい
私しか呼ばない、君の名前を

「好きだよ…」

冗談でもなく、演技でもなく

本心で、本気で

好きだと伝えたいのに

どうしてそんなに簡単な事が私には出来ないのだろうか