君は彼氏だけど彼氏じゃない【轟焦凍】 (ページ5)

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「俺と付き合って？」

「＿ふぇ…？」

轟の顔がこっちに向いた
そして優しく笑った

「お前の顔、家柄、演技力…それさえあれば大丈夫だ」

腰辺りに手を当てられる
すごく顔が近い

「いい暇つぶしになると思うぞ」

ぐ、と轟の方に腰を引き付けられる

「…どうだ？やってくれるか？」

これは、轟の癖だ
いつもいつも轟が私に何かお願いする時の癖

「…こんなに距離詰めるって事は私に拒否権ない感じでしょ
轟っておねだりする時距離感イカれるよね」

「そうか？無意識だった。悪い」

「と言いつつ離してはくれないんだね？」

「離すわけないだろ…？お前の"いい"返事が聞けたら離してやろうかな？」

『いい返事』に力を込めて轟はいじわるに笑った
私は軽くため息をついた

「まぁ元から断る気はないけど…私でいいの？」

轟は安堵のため息をついてやっと手を腰から離してくれる

「お前がいい
演技力もあるし1番仲いいし…それに顔も綺麗だし」

「っ…？！顔…っ！！？」

轟はいつも通りポーカーフェイスだった
何を考えているか分からないその顔

「…そういうの付き合ってない人に言っちゃいけないんだよ！」
「俺ら付き合ってんだろ」
「偽、でしょ」

思わずため息をついた

「…とりあえず今度の休み親父に直談判してくる」
「私の事話すの？」
「嫌、まだ話さない」
「そっか」
「話して欲しかったのか？」
「んな事言ってないでしょ…！」

からかってくる轟の背中を軽めに叩くと轟は笑ったのか喉を鳴らした

「まぁいいけど
じゃあ轟頑張ってね」
「おう、頑張る」

何となく時計を見るともう9時を指していた

「あ、もうそろそろ帰るね」
「あぁごめんなこんな遅くまで。送っていこうか？」
「いや大丈夫だよ、同じ寮の中じゃん」
「でも峰田とか…！」
「大丈夫だって、ほら私偽だし、これからも友達として接していいよ
無理に恋人っぽくしなくても…」

それに轟は「それもそうか」と頷いた

「じゃあ、おやすみ
俺の彼女さん」

にや、と轟が笑った
…偽だって言ってるのに

「おやすみ、また明日ね

私の彼氏さん」