君は彼氏だけど彼氏じゃない【轟焦凍】 (ページ25)

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「ヤオモモ、響香…どうかな」

自信なさげにそう言うと2人とも親指を立ててくれた

「さすがAさんですわ…とても似合ってらっしゃいます」
「うんうん、これじゃモテすぎて轟嫉妬しちゃうね」
「そ、それはさすがにないんじゃない…？」

ヤオモモの部屋の大きな鏡でもう1回姿を見る

元々持っていたがクローゼットの奥底にしまい込んでしまっていたベージュ色のワンピースにライダースジャケットを合わせて着てみた
ちなみに2人セレクトなんだけど

「自信を持ってください！Aさんは可愛らしい素敵な女性ですわ！」

ヤオモモに手を握られる
それがとても安心した

「…ありがとう、ヤオモモ、響香
私頑張ってくるね」

「うん、話聞かせてね」

2人に手を振って1回深呼吸してから部屋を出た
焦凍、これみてどう思うのかな…

「焦凍、お待たせ！」

「お、待ってねぇ…ぞ、？」

私を見た途端焦凍が固まる
何かおかしかったのだろうか
…あぁやっぱりそうでしょ
だって私いつもズボンしか履かないもんね

「A…スカート珍しいな」

「…っ！…う、ん」

やっぱり履いてこなければよかった
選んでくれた2人には申し訳ないけど着替えてこようかな…

「すげぇ、似合ってるな
似合っててびっくりした。お前スカートもっと履いてもいいんじゃねぇか？」

ニコッ、と焦凍は笑った

「え…本当？」

「嘘言うとでも思ったのかよ」

「いや違うけど！…その、嬉しくって…」

そうか、と焦凍はまた笑う

「あぁ、やっぱダメだ
それ、俺以外の男がいる場所では着んなよ？
その可愛い姿は俺だけの特権だから」

「…っ！……役に入り込むなぁ」

恥ずかしくてそんなことを言ってしまった

「ぁ…いや、これは違ぇよ…本音だよ」

見れば焦凍の顔が真っ赤に染まっていた

「演技でこんなに恥ずかしくなるかって」

「焦凍…」

何、それ
本当にズルすぎる
焦凍、最近ね私が本当に好きみたいになってきちゃってるんだよ？

「焦凍もかっこいいよ」

ボーダーのインナーにデニムシャツ
それに黒のスキニーパンツ
更に焦凍のかっこよさが引き立てられてるみたいですごい隣を歩くのが気後れしそうだ

「…ありがと、行くか」

焦凍が私の手を優しく掴む

「お前、すぐはぐれるからな」

そう、焦凍とは皆には秘密で2人きりで何回か出かけたことがあった
それら全て私が迷子になった
だから実質これが初デートじゃないのだ

でも、こんなにドキドキするのは初めてだ。