君は彼氏だけど彼氏じゃない続【轟焦凍】 (ページ5)

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焦凍side
「A」
「ヤオモモー！この問題わかんない」

「おい」
「響ちゃん、着替え行こっ！」

「なぁ」
「あっ、お茶子一緒帰ろー！」

…という感じで、Aに一日中無視されまくった
だがここで折れては行けない
折れてしまっては本当にAは俺の事を見てくれなくなる

「大丈夫？」

寮のソファで恐らく死んだ顔をしているであろう俺に緑谷と飯田が近寄ってきた

「翡翠くんの事だろう？俺が話してこようか？」

飯田が配慮してくれたのか小声で言う
緑谷も頷いていた
2人の提案は本当に嬉しいのだが、それではダメなのだ

「ありがとう。だけどこれはAと俺の問題だから俺自身で解決しなきゃいけねぇんだ」

でも、と心配そうな表情の2人に俺はまた言葉を続けた

「今日の訓練の時、俺リストバンド付けてただろ」
「あぁ…」
「…Aも付けてた」
「えっ…！」
「お揃いで昨日買ったんだ。それ付けてくれるって事はまだ希望はある…と思ってる」

そう俺は信じてる
何回無視されようと、嫌われようと

「相当自分勝手だけど、俺はAの事が好きだから」

この気持ちだけは絶対に変わらない。

＿＿Aside

爆豪と緑谷に背中を押されたのにも関わらず私は焦凍と向き合えないでいた
何回も目が合ったのに話しかけられない

好きなのに怖いなんて本当、自分が分からなくなるし嫌になる
焦凍がそんな事しないなんて分かりきってる筈なのに

「まだモヤモヤしてるんかよてめぇ」

寮で壁によりかかって物思いにふけっていた私に爆豪が睨みをきかせながら近寄ってきた

「あはは…」

なんて言ったらいいのか分からず曖昧に笑ってやり過ごした
彼は呆れたようにそっぽを向いたがその場を離れようとはしなかった

「…ねぇ、変な事聞くけどなんで爆豪は私に話しかけてくれるの？
フラれた相手に近付くってキツくない？」

爆豪は少し眉間に皺を寄せて顔だけ私の方を向いた

「は？そりゃ、好きだからに決まってんだろ」
「…！」

当たり前のように彼は言い放った

「アイツも一緒だろ。好きだから無視されても話しかけてんだろ
意外に健気なんだな、アイツ。良かったじゃねぇか、愛されてんなお前」

アイツっていうのは焦凍の事で、私が焦凍の事を無視してたのは爆豪も分かってたんだ

「愛され…」
「そうだわ、そろそろ自覚ってもんを覚えろや」

爆豪はそう言って私に背を向けて歩いていった

「私…愛されて…」

分かってたのに
分かっていないフリをしていたんだ。