君は彼氏だけど彼氏じゃない続【轟焦凍】 (ページ3)

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「本当は…好きだよ、どうしようもないぐらい…でも、でも…っ！」

「翡翠さん…」
「ごめん、ごめんね緑谷…」

何の謝罪かは分からないが翡翠さんは僕に向かって涙を貯めた目を向けて謝罪の言葉を呟いた
今にも泣き出しそうなその目がいたたまれない

「本当にどうしようもない…伝えたいのに身体が言うこと聞かなくて…っ！！」

「っ…翡翠さん、こっちこそごめんね…本当に…」

震える彼女の背中を僕はそっと撫でた

「ううん、話聞いてくれてありがとう…前よりかは、楽な気がする」
「…なら良かったけど…辛かったら言って？僕じゃなくても麗日さんとかでもいいから」
「うん、ありがと」

落ち着くまで僕は彼女の背中を撫で続けていた
きっと翡翠さんと轟くんの心の中は僕らの気付けない所で相当悩んでいたのだろう
辛かっただろうに、それを救えない無力な僕に少し腹が立っていた

だからだろうか
後ろから迫ってくる人影に気付かなかったのは

「…っおい、クソデク…」

「…ひっ」

条件反射でその低い声に悲鳴がもれた
紛れもない、その声の主は幼馴染であるかっちゃんだった

「かっ…かっちゃん…？僕になにか用…？」
「ちっげぇわ！今すぐその手離せやクソナード！」
「えっ？！ごめんなさいっ！」

慌てて両手を上にあげた
何か気に触る事でもしていただろうか
翡翠さんの背中を撫でてるだけ…

あ、そっか
かっちゃんって翡翠さんの事好きっぽかったもんな

「えーと…僕、もう行くね。轟くんと飯田くん待たせてるし」
「へっ？！」

翡翠さんの目には｢行かないで｣と書かれていたが
かっちゃんの目には｢はよ失せろ｣と書かれていた

翡翠さん一人置いて行くのは少し心苦しいがさすがにかっちゃんも好きな人相手にカツアゲ的なことはしないと思うから大丈夫だと信じよう

「ごめんね、翡翠さん。また後で…」
「う、うん…あっ、焦凍には絶対内緒だからね？！」
「分かってるよー」

心の中でぐっとサインを立てて僕はその場を後にしてしまった。