大嫌いな君へ送る嘘【轟焦凍】 (ページ10)

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日曜日の朝
8時頃にゆっくり起き出して寮の鏡を見に行った

そこには寝癖頭に昨日散々泣いたからかとても腫れている目をした磁力Aが居た
寝癖のついた紺色の髪をいじりながら思い出すのはまたアイツの事

「俺、Aの髪の毛好きだけど」

そう言って笑う大好きだった人
「…もう必要ないか」
だってどれだけ整えようと、綺麗にしようともう見向きもしてくれない

ハサミを持ってきて無造作に髪を切った
紺色が地面に落ちていく

「ぅええ？！」

その時タイミングよく入ってきた上鳴が叫ぶ
「何急に？！失恋か？！」
「あ、ごめん使う？ちょっとまってて」
慌てて掃除機を持ってこようとすると上鳴に手を掴まれた
「いやいや！そうじゃ……」

「朝っぱらからうるせぇんだよアホ面！！」

上鳴の声は飛んできた爆豪の怒号によってかき消された
「いや爆豪見ろよこれー！」
暫くすると切島、瀬呂が爆豪を引き連れてやってきた

「私別に見世物じゃないんだけど…？」

完全に爆豪の目が痛い
「は？」みたいな目辞めて欲しい
自分でも馬鹿な事したって分かってるから

「せめて美容室行けよアホなのかお前は？」

瀬呂からの容赦のない言葉がグサリと突き刺さる
「そうだ爆豪！お前手先器用だよな？整えてやったらいいじゃねぇか！」
切島が笑顔でとんでもない提案をしだした
やめてくれ私の心臓が持たないから

「は？めんどくせぇ」

「えー爆豪、髪も切れないのぉ？」
瀬呂が分かりやすく爆豪を挑発し始めた
辞めてくれ…それ以上は…！

「切れるわ！馬鹿にしとんのか！おら磁石女そこ立てやぁ！」

「はっはいぃっ！」
鏡越しに笑ってる上鳴と瀬呂が見えた
後で上鳴と瀬呂は殴る

＿「ぉ、おー」
思わず感嘆の声が盛れる
爆豪は当然だというように「はっ」と笑う
「後片付けは自分でやれ」
「あっ、うん！ありがとう！」

爆豪を追いかけるように3人も消えていった

片付けをすませ鏡を見た
背中の真ん中辺りまであった髪が響香より少し短い位になった

部屋に戻るか談話室で女子達と喋るか…とりあえず洗面所を出る

「は？」

そこにはいつの間にか病院の見舞いから帰ってきていた轟の姿があった
「おかえり」
「…ただいま…って、そうじゃねぇよ
その髪…切ったのか」

「うん失恋したし
それにイメチェンもしたかったしね」

そう言うと轟は微笑んだ

「似合ってる」

「ぇ…ぁ…あ、りがと」

そして轟は私の耳元でこう囁いた

「言っとくけど…お世辞じゃねぇから」