大嫌いな君へ送る嘘【轟焦凍】 (ページ8)

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「で、ここはこうなるから…ん、そう」
轟の教え方は上手くずっと躓いていた問題がスラスラ解けるようになった
「おー本当にありがとね！轟の教え方上手いなぁ…」
「そうか？…でも褒められると嬉しい
俺で良かったらいつでも教える」
褒められた事を無邪気に喜ぶ轟は何だか小さな弟が出来た気分だった

「じゃあ暇潰し程度でいいから教えて？」
「おう、全然構わないぞ」

少し轟の表情が綻んだ
その笑顔は私でも少し揺らぐ程の破壊力があった

「…百達、遅いね」

思わず話題を逸らしてしまった
「そうだな」
轟は上手く乗ってくれた

「あ、噂をすればだな」

扉の前に人影があった
数秒の間の後ドアがゆっくりと開いていく

「Aさん！…あら轟さんも一緒に？」

そこには私の親友と幼馴染が2人で横に並び頬を赤らめながらそこに立っていた
私は直感で「成功したんだ」と思った

「おぉ2人とも一緒に居たんだ丁度いい」

「「たまたまあっただけ」」
洋雪の言葉を2人で同時に否定する
まぁ一緒に居たのには間違いないのだろうけど

「仲良いな…2人に話したい事があるんだ」

洋雪は幸せそうにはにかんだ
この話の続きを聞きたくない
出来る事なら耳を塞いでしまいたかった

「俺と八百万付き合うことになった
相談乗ってくれてありがとな、轟、A」

ぐっ、と目に熱いものが込み上げた
それを必死で堪え笑顔を作る

「そっか…洋雪に先越されたな
百の事幸せにしなよ、バカ洋雪」

憎まれ口を叩かないとどうしても笑顔が崩れてしまいそうだ
「おめでとう。相談聞いてた身だしまぁ嬉しいよ」
轟は相も変わらずポーカーフェイスで言う
まぁ、って何だよと突っ込みたくなったが目の前の2人は幸せオーラーでそんな事気にもしてなかった

「まぁ何がともあれ…良かったよ
今からデートでもすんの？」

「えっと今からB組の寮に行って紹介しようと思ってる」
百も嬉しそうに微笑む
その笑顔は「あぁ可愛いな」と心の底から思う

「ラブラブですねー
じゃあ洋雪はまた明日ね」

「？お2人はまだ帰らないのですか？」
百の言葉に反応するように轟が立ち上がった

「今から俺磁力とデートする」

「は？」と疑問を口にする前に腕を掴まれる
「え？何2人そう言う関係なの？」
「違う違うっ！！遊びに行くって事…だよね？轟？」

轟は表情1つ変えず頷いた
「何だそういう事か！轟も冗談言うんだな」

そう言って教室を出ていく2人を見送る轟の横顔は相変わらず何を考えているのか分からなかった