大嫌いな君へ送る嘘【轟焦凍】 (ページ7)

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分かりたくない
分かりたくなかった

「百…？
洋雪が好きな人って…百なの？」

轟はゆっくりと頷いた
「本当は言わないでって口止めされたんだけどもう必要もねぇしな」
明後日の方向を向いて轟は目を細めた

「つまり2人は両想いだと」

「そういう事になるんじゃねぇのか」
よく分からねぇが、と零し轟は眠そうに目を擦る
「大体俺に恋愛相談する奴なんて初めて見た」

確かに轟は恋愛に疎そうな雰囲気が出てる
「轟なら彼女も1人や2人居たんじゃないの」
震える声を抑え込み無理やり沈んだ気分をあげようとする

「いた事ねぇよ」
「でもモテるでしょ」
「…そうなのか？」
「そうだよ自覚しな」

少し声のトーンが低くなり声が震える
泣いてはダメだと無理やり笑顔作る

轟は何で私にこの話をしたの
何で…

一瞬轟が嫌いになりかけた
だけど分かっている。轟は何も悪くない
私は誰にも洋雪への気持ちを伝えていないし恋愛に疎い轟が気付くわけも無い

「磁力？…体調でも悪いのか？」

椅子から立ち上がり私の顔を覗き込もうとする轟の顔が見れない
「大丈夫…」
「でも」
「…本当に大丈夫」
人の厚意を無下にしてまで洋雪への気持ちをひた隠しにする私はどう見えて居るのだろう
きっと、しょうもないに決まってる

「わかった。お前また髪拭かず出歩いてんだろ
風邪ひくって言っただろ？」

轟が少し怒った様な表情をしたのが見えた
「本当風邪ひいたら勉強遅れるぞ？」
「…ううん違うの
あの時はたまたま急いでて髪乾かしてなかっただけだよ
いつもはちゃんと髪乾かしてるよ」
それは本当だ
ズボラな私にしては綺麗に髪をくしでとかしながら乾かしてトリートメントもして

「そうなのか？…じゃあ訓練の疲れが出てんのか？まぁ今日はゆっくり休めよ」

「うん、ごめんね…ありがと」
涙を無理やり拭って顔を上げる
精一杯の笑顔で私は轟に向かって口を開く

「轟って勉強できるよね？」
「は？…まぁそれなりに」

出来ない、と否定する事もなく
出来る、とも言わない所が何とも轟らしい

「じゃあ百達が来るまで教えて欲しいな、なんて」

冗談半分でそう言うと轟は床に落ちたバックを拾い上げた
やっぱりダメだったかと少し落ち込んだ矢先轟がバックの中から筆箱を取りだした

「いいぞ。どこが分からないんだ？」
「へ？！いいのっ！？」

嬉しさのあまり大きな声を上げると「お」と声を出した

「…俺が教えられる所なら力になるぞ」

「ありがとうっ！」
私は笑顔で教科書を取りだした