大嫌いな君へ送る嘘【轟焦凍】 (ページ5)

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9月も中旬に差し掛かる今日
百は少し挙動不審だった
何やらずっと呟いていたり長いため息をついたり精神統一していたり
それは私だけじゃなく少なくとも女子は皆心配していた

だけど聞いてもなんでもないとはぐらかされた

2限目と3限目の間の休憩時間小さいメモ書きが百から渡された
「何？」
「…後で見てください
Aさんにしか言えない事です」

ほんのり頬を赤く染めて言う百は前にも見た事があった
洋雪の事が好きだと言ってきた1か月前のあの日だ

私はあの日から百の恋愛相談に乗ってきた
洋雪の好きな食べ物や好きな音楽に趣味
それに洋雪をどうすれば喜ばせられるか
どうやったら気を惹けるか
それも全部相談に乗った

辛かったし今も辛い

こんな美少女が好意を抱いていると知ったらあの馬鹿の事だ。すぐイチコロだろう
私とは違う、可憐な女の子

ため息をついて次の教科の用意をすればいつの間にかチャイムがなっていた

皆が席についたのを見計らってメモを開いた

そこには綺麗な百らしい文字でこう書いてあった

「今日、泡瀬さんに告白しようと思います
今まで相談に乗ってくださってありがとうございました
成功しても失敗してももう悔いはありません
結果は1番にAさんにお伝えしようと思っております
百より」

そのメモを読み終わった私はどうしよもない感情が胸中にうずまきグルグルと回る
プレゼントマイクの話が耳を通らない
辛い、泣けるのなら泣きたい

きっとこれは成功してしまう

なんで私はあの時相談に乗る事を選択してしまったのだろうか
こんなにキツイって分かっているのに…何故

理由は簡単
私は洋雪の事が好きだけど
それと同じぐらい百の事が好きだから
友達の事が大好きだから

友情と恋愛

近くて遠いその2つは、私が背負うにはまだ大きすぎたらしい

「おぉい磁力！具合でも悪いのかぁ？！」

大きいマイクの声が耳をつきぬけた
「あ、いえ…すいません…大丈夫です」
「本当か？キツくなったら言えよ！！」
「…ありがとうございます」

前の席の響香が口パクで「大丈夫？」と言ってくれた
私は深く頷いた
響香は心配そうに眉根を下げた後「保健室行きたくなったらすぐ言ってよ」と言って前を向いた

具合は悪くない
ただ少し…辛いだけ

左斜め前にいる轟が少し後ろを向いた気がした。

--------ｷﾘﾄﾘ線--------
Aちゃんは耳郎ちゃんの後ろの席でそこから1つずつズレてます
百ちゃんが一人飛び出している感じです
だから轟くんが前に居ます