大嫌いな君へ送る嘘【轟焦凍】 (ページ40)

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最終話ページ40

「ああぁ…A…」
「はいはい、どしたの焦凍」
「Aが欲しい」
「何言ってんの、もう焦凍の物だよ」

寮のフリースペースでお構い無しに抱きついてくる焦凍に少し呆れながら頭を撫でてやる
幸い辺りに人はいないし、人が来たら剥がせばいい
今日の訓練キツかったから疲れてるんだろう
これぐらいさせてやろう

「……なぁA」
「なに？…ん」

不意打ちでキスをされた

「好き」

「…私も」

そう言うと何故か焦凍は拗ねたように頬をふくらませた

「……Aはさ、俺の事好きってなかなか言わないよな」
「え？そ、そうかな？」
「そうだよ。いつも｢私も｣ばっか…俺寂しいんだぜ？」

照れてるんだよ、察せよアホ
その言葉を飲み込んで頭を撫でる

「大丈夫、焦凍と気持ちは一緒だから」
「じゃあ…言って？」
「え？」
「言ってくれねぇの？｢好き｣って」

焦凍の綺麗なオッドアイに見つめられ逃げ場が無くなる

「ぅ…はぁ、もう…恥ずかしいんだけどなぁ

…愛してるよ、焦凍」

「あっ愛…？！」

みるみる焦凍の顔が赤くなる
そんな様子に少し笑ってしまった

「通じた？」

そう言って笑うと焦凍は小さく頷いた

「破壊力やべぇな…本当俺の彼女可愛い…恋愛相談乗ったかいありましたよ」
「上手く乗せられたよね、私
本当不思議な感じだよ。ずっとアイツのこと好きだったのに…今はこんなに焦凍の事が好きだもん」

照れ隠しに目線を逸らして言うとさらに抱きつかれた

「可愛いなぁ…今日一緒寝よ？」
「えぇ…」
「大丈夫、まだ手は出さねぇからさ」

焦凍は付き合って初日であんなキスをしてきた割に、それから全然そういう事はしなかった
キスは何回もしてるけど…

「疲れたからAの寝顔みて癒されたいんだよ」
「…まぁいいけどさ」

焦凍の顔が明るくなった

「A大好きだぁ…」
「はいはい、私も大好きだよ」

照れるのを感じながらもちゃんと言葉にした

大嫌いで、大好きだった幼馴染に送った

「私も幸せになる」っていう嘘

それを本当にしてくれたのは、焦凍(きみ)だった

「…ありがとう、焦凍」
「？何がだ？」
「秘密ー」

あのね、焦凍

「大好きだよ」

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