大嫌いな君へ送る嘘【轟焦凍】 (ページ39)

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038「俺の幼なじみは、」ページ39

俺は泡瀬洋雪
雄英高校のヒーロー科だ

突然だが俺の幼なじみはアホだ
名前は磁力A
料理なんか物をする時には砂糖と塩を間違える
雄英に合格出来たのも何かの奇跡なんじゃないかって中学校中で噂されてる
…カンニングするような奴じゃないから、本当に奇跡なんだと思う

そんなアホ(A)が最近付き合い始めたと彼女の八百万百から聞いた

しかも相手は…
雄英に推薦入試で合格した体育祭2位の実力者
そして雄英1のイケメンと囁かれている轟焦凍だった

何がどうなってあの馬鹿が付き合えたのか少々疑問に思った…が
幼馴染という視点で見るとアイツはただのアホなのだが
客観的に見てみるとAは美人だ
うちの彼女にも引けを取らないぐらいの美人

そして性格もいい
友達想いで、俺が骨折した時なんか献身的にサポートしてくれた
だから俺はAの事を自慢の幼馴染だと思っている

まぁ、何が言いたいかって言うと…正直嬉しいなって思ったんだ
せっかくモテてて何回も告白されても彼氏を作らなかったのにやっと付き合えたんだ
祝ってやらなくちゃな

思ったそばから、視界の端で赤と白の短髪と短くなった紺色が揺れていた

2人は手を繋いで食堂へ歩いていた
一瞬声をかけるのを躊躇ったが今伝えなきゃいつ伝える
意を決して口を開ける

「轟！Aっ！」

Aと轟が一緒に振り返る
俺は精一杯の笑顔を浮かべて笑う

「おめでとうっ！結婚式は呼べよ！！」

「…そっちこそっ！」

Aが轟の手を強く握って笑った

それと一緒に轟の顔が嬉しそうにはにかんだ
いつもポーカーフェイスなのにそんな表情も出来るんだ、と新しい発見をした
Aはあの轟にこんな優しい表情をさせれるぐらいすごいんだな

「泡瀬、お前の幼馴染は俺が大切にするからな！」

心底嬉しそうに轟は言った
こんな声を出す轟を俺は初めて目にした

きっとAに相当惚れてるんだろうな

「おう！そうじゃなきゃAの母さんに俺も怒られちまうからな！」

大事な妹みたいなA
少し前まで俺の後ろをずっと着いてきてたのに

「妹を嫁入りさせる兄の気持ちってこんな感じなのかなぁ」
「何言ってんだ泡瀬」

同じクラスの奴に奇妙な目で見られてしまった
百に見られなかっただけまだマシか

「さて！俺も百とイチャイチャしに行こー」

回原の冷たい目を無視して黒髪ポニーテールを探す

愛しい彼女、百の元へ俺は足早に歩き出した。