大嫌いな君へ送る嘘【轟焦凍】 (ページ29)

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＿緑谷side
「およ？」

急に麗日さんがお箸を置いてガラケーをスカートのポケットから取り出した
そして画面を確認して一時停止した画面のように固まった

「え…？麗日さ…」

声をかけようとした瞬間麗日さんが何故か立ち上がった

「デク君、ちょっと一緒に来てくれん？」
「へ？僕？いいけど…？」

少し慌ててかけていく麗日さんの後を見失わないようにしながら追いかける

暫く走って着いたのは自販機やベンチがある青々とした木々や草を茂らせている中庭だった
何でここに来たのか意味も分からぬまま麗日さんがベンチに座ったので僕も遠慮がちに隣に座る

「デクくん、ヤオモモちゃんと響香ちゃんからの伝言なんやけど
…あっ、急に連れ出してごめんね？出来れば轟くんとか他の人がおらん所が良かったから」

轟くん？今の話のどこに轟くん要素があったんだろうか
でも他の人に聞かれたくない内容って事が関係しているのかな
確かにここは数人お弁当を食べる人がチラホラといるが秘密話をするにはうってつけの場所だろう

「ううんご飯も食べ終わってたし大丈夫だよ！それで話って？」

「あのねこれ見てほしいんだけど…」
麗日さんの携帯の画面には皆使っているであろうメッセアプリの画面が表示されていた
普通はスマホ専用なんだけどたまに麗日さんみたいなガラケーでも出来るって言うのがウリのガラケーも売ってある
今はそんな事どうでも良くて、とりあえず画面を覗いてみる

百急にすいません。麗日さんにお願いがあります
百緑谷さんに協力してもらって轟さんにAさんの事をどう思っているのか聞いてみて欲しいんですが…

きっと1番重要なところはここだろう
その下にも少し会話が続いていた

「今日轟くんの様子でおかしい所あった？」
「うん、めっちゃ合ったよ」

僕は考えずに即答した

「…その話詳しく聞かせてくれん？」

「えっと、この間「Aに嫌われた。生きていけない」なんて言っていた癖に磁力さんの事を見ないし話さないしいつもの轟くんならすぐに磁力さんに話しかけに行くのに今日は行かなくて
なんか二人の間に喧嘩でもあったのかなって飯田くんと話してた所だよ」

「なるほどーデクくん、ありがと！」

麗日さんの苗字通りの麗らかな笑みに頬が赤くなるのを感じた

「じゃあ轟くんに磁力ちゃんの事どう思ってるか聞いてくれる？」
「ん、了解」

聞かなくたって分かる
轟くんは絶対「嫌われたって大好きだ」なんて言い出しかねない