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その日は早めに寝床に着いた
だが寝る気には慣れずただ目をつぶる
＿「A、このリストバンド上げる！」
「本当？じゃあ私はこのヘアバンドプレゼントするね！ありがとう洋雪！」＿
「＿ッ！？」
いつの間にか寝ていたようで慌てて飛び起きた
"あの日"の事がフラッシュバックのように蘇る
机の上に置いてあった黒と白のリストバンド
痛い、痛い
心臓が胸が苦しい
恋が、失恋がこんなに辛いなんて知らない、知りたくなかった…
このままずっと片想いのままで終わりたかった
"私があげた"ヘアバンドが良く似合うアイツ
嬉しそうに毎日付けて学校行って
中学になっても付けてて怒られて
それでもつけて行ってて…本当にアホだと思った
"洋雪に貰った"リストバンドをつけて部活の試合とか練習に参加してた私
小学生まではいつも付けてたけどさすがに洋雪みたいな勇気はなくて辞めたんだっけ
そのリストバンドを付けてると辛い練習も頑張れる気がしてた
どんな強い相手でも「かかってこい」って言える気がしてた
ダメだ
こんな事を考えていたから目が覚めてしまった
手探りでスマホを探して時間を確認する
丁度深夜3時をさしていた
「…寝れないな」
このまま勉強とかしてた方が身のためかもしれない
だがそんな気にもなれず
だからといって寝る気にもなれず
ただ天井を見上げる
「私の方が長いのに」
ドロドロと醜い気持ちが湧き上がる
「一緒にいた時間…9年間一緒に居たんだよ」
7歳の時、君は「似たような"個性"だね」って言って嬉しそうに声掛けてくれたっけ
「ねぇ、洋雪…？」
その問いかけは誰にも届くことなく暗闇の中へと吸い込まれ、消えていく
このまま闇に呑まれてしまいたい
そしてこの気持ちもさっぱり消し去ってしまえたらどんなに楽なのだろうか
「好きだよ」
もう、伝えれるのには何もかも遅すぎた
こんな事になるなら関係が少し崩れるのを恐れないで伝えてみたら良かった
アイツ馬鹿だから承諾してくれたかもしれないのに
…分かっている
そんなのはただの自己満足に過ぎないって
それでもいいから伝えてみたかった
崩れたって構わない
だって百と洋雪は両想いなんだから
ズルズル今のように関係を引きずるより綺麗さっぱり崩れた方がマシだった
そう思ってしまうほどに私はこの気持ちを無くす術を知らない
知りたくない
忘れたいけど忘れたくない
本当に忘れてしまっていいのだろうか
誰か、教えてよ
誰か救けてよ
私を洋雪から引き上げて
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くちく - いい話だ〜素晴らしかったですありがとうございました！ (2020年8月18日 14時) (
レス) id: 02e326f744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月亜 | 作成日時：2019年12月19日 18時
