大嫌いな君へ送る嘘【轟焦凍】 (ページ13)

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その日のA組の寮はとても賑わっていた
いつものA組メンバー＋洋雪
B組は「せっかくだし一人で行ってこいよ」と言って洋雪だけをこっちに寄こしたらしい
どうせなら皆来て欲しかったというのが本音だ

「Aなんか今日しおらしいじゃねぇか」

洋雪が遠慮の欠片もない一言をぶつけてくる
「私はいつもこんな感じだわ。そっちこそ美少女と付き合えて気分浮ついてんじゃないの？」
「確かに美少女と付き合えたのは認めるけど！浮ついてねぇよ！」
そんな他愛のない会話をしていると百の少し影が落ちた表情が見えた

「はぁ…洋雪、いくら私の事女って見てなくても生物学上私女だからね
百っていう可愛い彼女が居るんだから1人にさせんなアホ」

そう言うと洋雪は少し反省したような顔をして百の方に飛びついて行った
百は嬉しそうにしていて幸せそうだった
一息つこうと炭酸飲料を喉に流し込み他の所に目線を向ける

分かっていたけれどやっぱり私は女に見られていなかった
その事実が胸を締め付ける

「おい、磁石」

低いドスの効いた声が耳に飛び込んできた
「それ"個性"！名前は磁力だからね爆豪！」
ソファの後ろに仁王立ちしていた爆豪を振り返ると可愛らしいケーキを2つ持っていた
「うるせぇどっちも変わらねぇよ」
私の隣に乱暴に腰かけ1つのケーキを私の前に置いた

「…ん？爆豪、これ私の？」

「そうだわ！俺が作ったんだ、残さず食べねぇとぶっ倒す」
「えっ！爆豪が作ったの？！すご！」
だから食べさせようと持ってきたのか
なるほどな
爆豪が素直に手伝いなんて天変地異が起きる所だった

「たりめぇだわ」

「ですよねーさすが才能マン
じゃ、いただきまーす」

口に含むとお店に売っていても疑わないようなケーキ味がした
「え、待ってマジで手作り？」
「んだよ」
「美味すぎて店に売ってんのかと思った」
そういうと馬鹿にしたように笑った
無性に腹が立つな
だけどそんな事も気にならない位美味しい

「すごい美味しいよ！！さすが爆豪！ありがと！」

「あたりめぇだろ」
私の精一杯のお礼を一言で片付けやがった爆豪は私の顔をじっと見つめた
「何？なんか変？」
爆豪が軽くため息をついた

「てめぇいい加減その葬式見てぇな面やめろ」

そして睨まれた
「つぅかよ…その髪伸ばしてたんのに簡単に…しかも素人に任せて切っちまって良かったんかよ」
ぶっきらぼうに、でも心配したように爆豪がいう

心配されたのに一瞬気付けず固まってしまった

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