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とは言ったものの……彼女って具体的に何をすればいいのだろうか
昨日の夜寝る前にずっとその事を考えていた
彼女と言っても偽彼女
しかも婚約破棄のためだけの。
だから別に人前でイチャイチャする必要性もないのだ
じゃあやっぱり、婚約相手に会いに行けばいいだけ？
それなら簡単なんだけれど
まぁ、難しい話は直接本人とすればいい
そう思いなおして部屋を出る
いつも通り同じ階の三奈と遭遇して、いつも通りエレベーターを下りる
そして学校に行って授業を受けて、訓練をして家に帰る
ここまでは、いつも通り
｢なぁA｣
｢？！轟？｣
寮に帰ったときに、轟にぐいっと腕を引っ張られた
一緒に帰ってきた三奈や透もいる前で、
｢俺の部屋来てくれねぇか？｣
と轟は言う
｢へっ、｣
｢話してぇことある
2人きりになりてぇんだ｣
十中八九、婚約の件についてだろう
それは分かっているが、友達の前でこんなに大胆に言われると、
｢…！？あ、え、う、うん！？｣
吃ってしまうのは仕方の無いことだと思う。
｢じゃあ、荷物とか置いてきたほうがいいよな？
まってる、｣
それだけ言って轟はエレベーターに乗り込んだ
ふ、と力が抜けて肩にかけたスクバがずり落ちた
｢えっ……｣
｢えぇ〜〜〜〜！？！？｣
｢何何！？Aと轟って何！？そういう関係なの！？！？｣
｢うっ｣
興味津々な三奈と透がずいっと近付いてきた
｢えー……あの…そのまだ…なんと言えばいいのか…｣
｢まだ？？？｣
｢あぁ……まだ、ということは……そういうことですねAさん？｣
｢いやどういうこと！？違うよ！？2人の思ってるみたいな事ではない…………と、思うよ…？｣
言いきろうとして、最後は言葉を濁してしまった
｢と思うよって！？｣
｢ま、まだわかんないの！色々と！｣
この関係をどう皆に説明するのか
私はこの関係のことを話さないつもりだった
というか、今まで通りの距離感で接して、婚約者と会う時だけとか、そういう時だけ彼女の振りをするのだとばかり思っていた
けれど、今の轟の行動は、本当に私たちが付き合ったかのような仕草だった
だからこそ今こうして頭が混乱しているのだけれど
もしかすると轟は轟なりに考えがあってあんな行動をしたのでは、と思うと無駄につきあってないから！などと断言できない
兎にも角にも、轟本人に直接話をしないと分からない
｢……後で、話すね？｣
｢うんうん！｣
｢もちろん！｣
楽しげな2人を置いて、私は轟の元へと急いだ。
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作者名：月亜 | 作成日時：2022年10月30日 20時
