君は彼女だけど彼女じゃない【轟焦凍】 (ページ11)

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｢だって焦凍くん恋愛ドラマとか見ないでしょ…？｣
｢あぁ、見ねぇ｣
｢なのにあんな単語が出るなんて……｣
｢ほんとにお前俺をなんだと思ってんだ｣
｢……と、轟焦凍…？｣
｢そうだが？｣

私の中の轟焦凍はあんだけモテるのに彼女の1人もつくらず恋人が欲しいという上鳴や峰田の愚痴を華麗に聞き流す
そんな男だ

｢まぁでも……お前が頬までっつーなら俺はそこまでだ
Aの嫌がることはしたくねぇ｣
｢え………｣

……あれ、それもしかして、私もキスまでいいと言っていたら彼は私にキスをしていたのだろうか？？？

｢……そ、そそっか…｣
｢おう｣

平然と蕎麦をすする焦凍くんを見て、動揺を隠すように震える手でまたパスタを口に放りこむ
キスまでなら私とできるという焦凍くん
……そんなの、混乱せずになんか居られないでしょ…？

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放課後、
焦凍くんのキス発言に未だ驚きの余韻は消えないけれど何とか一日を過ごしきり寮に帰ってきた

｢なぁA、今日部屋来るか｣
｢へ！？｣
｢恋人っつったらそういうもんじゃねぇか？｣
｢そ、そういうもんなのかな……？｣

よくわかんないけど、焦凍くんがそう思うんならそれに従おうということでYESの意思表示をすると焦凍くんは満足そうに頷いた

｢じゃあせっかくだし課題一緒にするか｣
｢！うん！あ、数学教えてよ｣
｢おぉ、俺に教えられるとこならいいぞ｣
｢わーい！じゃあ荷物置いたらすぐ行くね、｣
｢おう、先行ってる｣

手を軽く振って焦凍くんとは反対方向のエレベーターに乗り込んだ
焦凍くんと2人きりで会う
私とならキスまで出来ると言った焦凍くんと。
……落ち着けA。できるとだけしか言っていない。したいかどうか、なんてものは別だ
焦凍くんはやむを得ない場合のみキスはできるという意味だ。きっとそうだ。そうでもないと焦凍くんほどに魅力のあるイケメンが私に対してこんなこというはずがない
本人に直接聞いたわけじゃないから全て憶測だけれども

…憶測で物を言うの、私の悪い癖だなぁ
でもでもでも、そう考えられずにはいられないくらい焦凍くんと私は不釣り合いで、私には勿体ないくらい素敵な人なんだ

｢う〜…どうすればいいの……｣

私のボヤきは誰にも聞かれることなく自室の白い壁に吸い込まれたように消えた。