君は彼女だけど彼女じゃない【轟焦凍】 (ページ2)

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はぁ……
大きなため息が聞こえて、シャーペンを動かす手を止めて顔を上げた

｢轟？どうしたの？｣

ため息をついた張本人、轟焦凍に向かって言えば、彼はスマホを握りしめたまま髪の毛をぐしゃりとして気難しい顔をした

｢……わりぃ、なんでもねぇ｣
｢なんでもないって顔じゃなくない……？？｣

目はするどくどこかを睨みつけ、眉はつり上がっている
一言で言えば入学当初ののガンギマリろきくんのようだ

｢……何でもねぇっつったら嘘になるな｣
｢でしょ？｣

シャーペンを机に置いて、轟の顔を見る

｢勉強教えて貰ってるお礼！
なんか話したいことがあったら言ってみて？話したくないなら別にいいけどさ｣
｢ん………じゃあ…2人きりになれるとこ、とかねぇか？｣

ここは寮の談話室
今私はここで丁度何も用事がなかった轟に勉強を教えて貰っていたのだ
私と轟以外の人は少ないといえど何人かは各々自分の時間を過ごしている
人に聞かれたらまずいのかな？と辺りを見渡す

｢……あ、あそこは？お風呂の横の自販機のとこ。あそこ人いないよ｣
｢おぉ、じゃあそこ行くか｣

轟が立ち上がったからそれについて行く
自販機の前のベンチに2人並んで座る
しばらくして轟が口を開いた

｢……俺、婚約者がいるみてぇで｣

非日常的なワードに一瞬思考が停止する

｢…………婚約、者？？？？？｣

頑張ったけれど間抜けな声しか出なかった
そんな私に轟は強ばった顔で頷いた

｢俺がちいせぇときに組まれた縁談っつーか……相手が酔って冗談みたいなノリで提案してきたから親父も適当にあしらってたらしい……
で、それが今……なんか相手側がしつこく騒いでるらしくて…10年以上なんも連絡なかったらしいのに……で、親父からめちゃくちゃ電話がかかってくる｣
｢なんて？どうしよう？って？｣
｢……あぁ、どうしたらいいんだ？って………｣

轟が頭を抱えるから私も釣られて抱えてしまう

｢ｺﾝﾔｸｼｬ……？婚約……結婚……？｣
｢……いやだ…………｣
｢今の時代そんなことあるんだねぇ……｣
｢A、感心しないでくれ……｣

一周まわってすごいなぁと思い始めた私を轟がじとりと見つめた

｢ご、ごめん轟…
でもそのままじゃエンデヴァーさんも大変だよね
こっちでもどうにかしないとってこと？｣
｢……あぁ、そうなるな
親父はともかくお母さんと姉さん兄さんに迷惑かけたくねぇ｣
｢ともかくって｣

いつも通りの轟に苦笑いしつつ、私は解決策を探るべく頭を回した。