2品目�� ページ7
お目当てのさつまいもも無事に手に入れ、ついでにと駅前での用事も済ませているとポツリ、ポツリと雨が降ってきた。
駅構内で雨を避けつつ、折り畳み傘を探す。大きめで丈夫といった宣伝通り、使いやすくてお気に入り。
見つけた紺色のそれを広げ、帰ろうとしたところでふと見たことのある茶色が視界で揺れた。
鳥井さん、だっただろうか。
昨日と同じスーツ姿。ゴソゴソと鞄の中を漁ってから、切れ長の目で空を睨むように見上げている。
もしかして、傘がないのだろうか。
そんな中でも雨足は少しずつ強くなっていく。
私は少しだけ考えて、彼の方へ足を進めた。
「あの、鳥井さん…でしたよね？」
「えっあ、お隣さん？でしたっけ」
「あ、はい。飯島です」
「はぁ、どうもご丁寧に…」
声をかければ彼の黄緑の瞳がこちらへ向けられる。
正面から見た彼は、長めの前髪で隠れてはいるものの端正な顔立ちをしていた。
「…帰らないん、ですか」
彼の声でハッとする。綺麗な顔に見惚れている場合ではなかった。
「帰るんですけど、あー…その、傘、お忘れなのかなって思って…」
「あー…まぁ、はい」
「よかったら、入っていきますか、と…」
「えっ！」
「あ、いや、あー…迷惑だったら全然、いいので」
やってしまった。ほぼほぼ初対面の女に一緒の傘で帰りませんか？と誘われて困惑しない人はいないだろう。
現に目の前の彼も、困惑を隠せていないし。
いらん世話を焼いてしまったものだ。
私は軽々しい気持ちで声をかけた数分前の自分を呪った。
視線が自然と足元へ下がる。彼にも申し訳ないことをしてしまった。やはり謝って1人で帰ろう。
そう思い、言葉を紡ごうとした時。
「いや、助かり…ます」
「！あ、よかった…お節介だと思ってたので」
「あー…まぁびっくりはしましたけど、」
「ですよね」
「でも、むしろありがとうございます」
「いえ、帰るとこは一緒ですし」
ここ数年で聞きなれた関西のイントネーションが妙に耳馴染みよく感じる。やはりどこかで聞いたことあるような気がするのに思い出せない。
ばらばらと降る雨の音を聞きながら、私は大きく傘を広げた。
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エツリ - 描写が細かくて好き!!頑張ってください！ (2021年1月19日 21時) (
レス) id: e6d62c8537 (このIDを非表示/違反報告)
暇人な名無し(プロフ) - ア"ッ"すこです..._(:3」┌)_ (2020年12月10日 18時) (レス) id: d7b6c8461a (このIDを非表示/違反報告)
音符(プロフ) - 更新きたーーーーーー(ﾟ∀ﾟ 三 ﾟ∀ﾟ) (2020年12月9日 8時) (レス) id: 27532e9d38 (このIDを非表示/違反報告)
音符(プロフ) - 友達にこれ凄くいいよって言ったら友達も見ててお気に入り登録済みで笑った。 (2020年12月6日 20時) (レス) id: 27532e9d38 (このIDを非表示/違反報告)
yuramatu0524(プロフ) - めっちゃおもろいw我々ださん型のセリフが想像つくぐらい関西弁上手！これからも頑張ってください！ (2020年12月5日 2時) (レス) id: e66444f48b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚里 | 作成日時：2020年11月23日 14時
