自分のために。 ページ30
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風「松島が事故に遭ったのを見て、記憶が無いって分かって、俺ん家からあいつが逃げ出して。
俺がまた出しゃばったせいで松島も明花も傷ついて、あぁ俺やっぱり1人になんだなって思って、......。」
「うん、分かった、分かったから。もういいよ。」
あぁ、本当にキャパオーバーだったんだ。
ご両親が亡くなって1人になってしまった時のことも、あの頃の勝利と私の時のことも、沢山思い出してしまって。どれも思い出したくなくて逃げていたことだっただろうに。
急に1人になる感覚なんて私には分からないけれど、一時的にでも昔の風磨を知る人が減ってしまうんだ。それも何の前触れもなく。
怖いに決まってるよね。
不意にあの頃の風磨と重なって思わず頭に手を伸ばしそうになって、やっぱり辞めた。
子供扱いされるのはきっと嫌いでしょう?
あなたは本当に、辛い時こそ誤魔化して笑う人だから。
「ねぇ、風磨。
もう、自分のために生きてよ。」
風「は......?」
「実家にお金送るのも、勝利と私のことを気にするのももういいから。
いつまで申し訳なさに塗れて生きるつもりなの?
奨学金制度だって受けていたし、家にお金入れる必要なんて最初から無いんだよ。お母さん達が逆に申し訳なくて早 死 にしてしまうわ。
勝利と私のことだってそう。あの時風磨が言ってくれたから"正しい道"に戻れたけれど、もういいの。解決したの。2人で違う慰め方、見つけられたから。
自分より他の人を優先できるのは風磨の良い所だけど、もういい加減に自分のために生きてよ。お人好しも程々にして。私、風磨からのごめんなんてもう聞き飽きたわ。」
一気に話をしてしまってから、あぁ私って風磨にこんなことを思っていたんだ、と冷静な私がいた。
風磨は暫くぽかんとしていたけれど、1粒だけ涙を零してから、ふは、といつものように笑った。
風「そっか、ありがと。何か吹っ切れた気するわ。」
「...うん。」
風「知ってる?あいつの入れるコーヒー、バカみたいに美味いんだぜ。」
「そう。コーヒーが苦手な私でも美味しいと感じればいいけど。」
風「はっ、相変わらず子供舌なのな。」
「うるさいわね、トマト食べられないくせに。」
風「俺が嫌いなのはミニトマトです〜。」
相変わらずな私の"弟"。
他の人を大事にするのと同じくらい、ちゃんと自分も大事にしてね。
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みる - はじめまして。コメント失礼します!!このお話とはまだ出会って3日ですがすっごい好きです!!忙しいと思いますが更新楽しみにまっています!! (2020年5月22日 15時) (レス) id: 0659994221 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎま(プロフ) - 松嶋奈々子の山なしだと、松鳥になっちゃうなあ笑笑って思いながら読みました笑 これからも更新頑張ってください!! (2019年12月23日 21時) (レス) id: eb05d149fd (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - かみるさん» 更新が遅くなって申し訳ありません。ありがとうございます。引き続きお楽しみ頂けたら嬉しいです。 (2019年3月13日 22時) (レス) id: 8ef3ed792b (このIDを非表示/違反報告)
かみる - 初めまして!この作品大好きです!!!更新楽にしています! (2019年3月11日 20時) (レス) id: bc0982e177 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - このはさん» ありがとうございます!毎日とは行きませんが頑張ります。これからもどうぞお楽しみください。 (2019年2月18日 21時) (レス) id: 8ef3ed792b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のあ | 作成日時:2019年2月12日 19時