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悲しい音。 ページ17

中島「明花さん、病院の位置情報分かります?」




「あぁ、えっと...ここ。」




中島「分かりました。20分くらいですかね。


...ここ、俺行ったことあるので近道で行きますね。」




「そっか、ありがとう。」





中島くんの車に乗るのは初めてだった。



一緒に営業に行くことは会ったけれど、いつも電車やタクシーだったから。





お兄ちゃんや風磨以外の男の人が運転する車に乗るのは本当に久しぶりで、少しだけ緊張する。




行ったことがある、という声がやけに悲しい音だった。





中島「...誰が病院にいるのかとか、キクチさんとはどんな関係なのかとか、気になりますけど、何も聞かないから。



少しだけ、俺の話聞いて貰ってもいいですか。」





「...うん、私で良ければ。」





前を向いたまま、彼はグッとハンドルを強く握った。




顔を見るのはいけないかなと思って、私も前を向いたまま返事をする。





初めて聞いた、中島くんの悲しい声だった。





中島「明花さん、だけじゃないと思いますけど、俺が毎朝給湯室で朝飯食べてるの、気づいてますよね?」




「...うん、そうね。気づいてた。」




中島「あれ、俺いつも同じ物食べてるんです。すぐそこのコンビニの、ミックスサンドとカフェラテ。毎朝。」




「...うん。」






そうね、それも気づいていたよ。なんて言える空気ではなかった。




空気が重い。




出来るだけ何でもない風に、明るく話そうとする声が、反対に事の大きさを伝えている。




ねぇ、そんな泣きそうな顔で笑わないでよ。



内容が良い事でないことくらい、私にだって分かるのに。





中島「...俺が毎朝同じ物を食べる理由、何か知ってました?」




「...ううん、知らない。」




中島「俺、彼女居るんですけど。同棲していて。勿論すごく愛していたし、彼女からの愛も感じていました。



次の記念日の時にプロポーズするつもりだったんです。」





ねぇ、やめて。そんな怖いこと言わないで。




どうして過去形なの。


悪い話だと思いたくないのよ、ねぇ。

会える間に。→←繋がれたまま。



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みる - はじめまして。コメント失礼します!!このお話とはまだ出会って3日ですがすっごい好きです!!忙しいと思いますが更新楽しみにまっています!! (2020年5月22日 15時) (レス) id: 0659994221 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎま(プロフ) - 松嶋奈々子の山なしだと、松鳥になっちゃうなあ笑笑って思いながら読みました笑 これからも更新頑張ってください!! (2019年12月23日 21時) (レス) id: eb05d149fd (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - かみるさん» 更新が遅くなって申し訳ありません。ありがとうございます。引き続きお楽しみ頂けたら嬉しいです。 (2019年3月13日 22時) (レス) id: 8ef3ed792b (このIDを非表示/違反報告)
かみる - 初めまして!この作品大好きです!!!更新楽にしています! (2019年3月11日 20時) (レス) id: bc0982e177 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - このはさん» ありがとうございます!毎日とは行きませんが頑張ります。これからもどうぞお楽しみください。 (2019年2月18日 21時) (レス) id: 8ef3ed792b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のあ | 作成日時:2019年2月12日 19時

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