4*意外な一面 ページ7
「それではみなさん、さようなら」
「「さよーならー!」」
元気な声と共に、みんな一斉に教室から出て行く。
今日も今日とて、仲の良い友人がいない私は、1人で教室を出る。
…それもそう。半年前に組織に連れて来られて以来、全く土地勘のない、友達など1人もいるはずのない都会の学校に通わされることになったのだから。
じゃあ寂しいのかと言われると、そういうわけでもなかった。
だって、行きと帰りは必ず…
「_____遅かったな」
いつも通り手を差し出してきたから、手に持っていた鞄を渡す。
鞄を私の手から受け取ると、"早く来い"と先を歩き出した。
「ねえ、そんなに毎日来てくれなくても大丈夫だよ」
…そう、毎日必ずピンガが送り迎えに来る。
「別におめーのためじゃねぇよ。
"四六時中見張れ"って言われてるから来てるだけだ」
「ふーん…」
「…何だよその気のねぇ返事は」
立ち止まり振り返ると、左耳のピアスを触りながら見下ろしてきた。
「"見張れ"って言われてるからって言う割に、いつも荷物持ってくれるから」
「……」
痛いところを突かれたというように押し黙り、顔を歪める。
ち、と舌打ちするとまた踵を返して歩き出した。
口は良いとは言えない、いや、むしろ悪い。
私以外の人には特にぶっきらぼう。
人のことをすぐにガキだとかチビだとか言う。
だけど意外と、教養や知識がある部分もあって。
…そして何より、優しいところもある。
四六時中見張れって言われてる…あなたはそう言うけど。
だったら本当は、私が部屋にいる時も同じ部屋で見てなきゃいけないってことでしょう。
それなのに、私が部屋に戻る時は1人の時間を持たせてくれる。
本当は逃げたり私が死んじゃったりしたらいけないから、ダメだろうに。
反対に、学校の行き帰りは絶対に私を1人にしない。
もう私が組織から逃げ出す気がないことを知っているはずなのに。
「ピンガ」
「…あ?」
「ありがとう」
「……」
歩きながら、先を行くその背中にせめてものお礼を言うと、"はっ"とまたいつものようにぶっきらぼうに笑った。
「お前はいつもそればっかりだな。
人に礼ばかり言って…お人好し」
「だって、本当に思ってるだもん」
「…ふーん」
自分だって、気がない返事をしてるじゃん…そう言うとしたけど、ピアスを触っている癖を見て、今は決まりが悪いのだと悟り、その言葉は胸に秘めた。
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柚葉(プロフ) - ルビーさん» 私もそう言っていただけてすごく嬉しいです!! (11月27日 19時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます!嬉しすぎますっ (11月26日 22時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ルビーさん» ルビー様。こんばんは!ご返信が遅くなりすみません…!( ; ; )ひとまず友達のみ公開を外しましたので、見れる状態かと思います…!一旦はこの状態でいこうかと思います! (11月25日 22時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - 何回もごめんなさい!続編の方ログイン限定と出て見れないので何とかしてくれたら幸いです。しつこくてすみません (11月23日 21時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます…!どうしても見たくて、、、笑 (11月23日 20時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年9月17日 22時