27*事件 ページ43
「ねえ、ピンガのそのロープ…私にもできる?」
私の部屋のベッドの上で銃を解体しているピンガに向けて聞くと、怪訝そうな顔をした。
「あ?ロープ?」
「髪の毛だよ髪の毛。それ、ロープって言うんじゃないの?」
「ちげぇよ。なんだよロープって。コーンロウだよコーンロウ。
つか、コーンロウ知らなかったのかよ」
ぷくっと頬を膨らまして言うと、立ち上がって私の目の前まで来た。
「コーンロウ…!なるほど!」
笑うと、ピンガもまたふっと笑った。
「おう。まあ、Aくらいの髪の長さなら…余裕で出来るけどな」
髪をサラサラと撫でてきたピンガは、そういえばまたすらりと背が高くなったと思った。
18歳ともなると、育ち盛りで体格もがっしりとしていて。
並んで立つと、体格差があるな、と前より一層思うようになった。
「_____A、聞いてんのか?」
「あ、ごめんごめん。今の私でも充分なら、こんなに髪の毛伸ばす必要なかったかな」
「……コーンロウしたくて髪伸ばしてたのかよ」
「え?そうだよ?そしたらピンガとお揃いになるしっ!」
「……」
どういうわけか、顔を逸らしてまた頭をわしゃわしゃとされた。
「……別に良い、てめーはそんなことしなくても。
今のまま、髪伸ばせよ」
「…そう…?分かった、じゃあ、これからも絶っ対に髪の毛伸ばしたままにするね!」
ピンガはいつになく、"ん"と優しく笑った。
珍しい表情に、不覚にもまたドキッとした。
根底には、優しさもある人なのだと、私が誰よりも分かっているからこそ。
「もう遅いから部屋戻る。お前もさっさと寝ろよ」
「うん、分かった。おやすみ」
「ああ、おやすみ」
軽く手を振ると、手を上げてそのまま部屋から出て行った。
いつも通りだった。
本当に。いつも通りの、何の変哲もない、平穏な夜だった。
…ピンガと別れるまでは。
・
「(寝れない……)」
今日何度目かの寝返りを打つ。
でも変わらず寝苦しくて目が覚め、何か飲もうと部屋を出ることにした。
…私はいつまで、この生活を続けるのかな。
無意識に暗い気持ちを抱えながら、食堂の共同利用の冷蔵庫の扉を開けた時、後ろで気配がした気がした。
「っ…」
冷蔵庫からの冷気も相まって、何故か嫌な予感がし、何も飲まず部屋に戻ろうと急いで扉を閉める。
「っん…?!」
一瞬で後ろから口元に何かを当てられ、ふっと意識が遠くなった。
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柚葉(プロフ) - ルビーさん» 私もそう言っていただけてすごく嬉しいです!! (11月27日 19時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます!嬉しすぎますっ (11月26日 22時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ルビーさん» ルビー様。こんばんは!ご返信が遅くなりすみません…!( ; ; )ひとまず友達のみ公開を外しましたので、見れる状態かと思います…!一旦はこの状態でいこうかと思います! (11月25日 22時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - 何回もごめんなさい!続編の方ログイン限定と出て見れないので何とかしてくれたら幸いです。しつこくてすみません (11月23日 21時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます…!どうしても見たくて、、、笑 (11月23日 20時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年9月17日 22時