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「…あ?どこからどう見てもガキだろ」
「……」
ポケットに両手を入れて首を傾げる姿が、妙に様になっているのがまた悔しい。
「大体、ガキにガキっつって何が悪いんだよ」
「っ〜!ガキガキってね!じゃあ貴方は何歳なの?!」
「……18」
「……」
気まずそうに視線を彷徨わせた仕草は、自分が嘘をついていると明白に示していて。
「…本当は何歳?」
問い詰めるように聞くと、ふっと口角を上げた。
「15」
すごいドヤ顔してるけど…
「十分クソガキじゃん、3歳しか年変わらないもん」
「誰がクソガキだ、十分変わんだろ」
「……変わらないもん」
私を見下ろしてくる人を避けて歩き始めると、また後ろから着いてきて。ボソッと"変わる"と呟いたのが聞こえてきて、負けず嫌いなんだと分かり少し笑いそうになった。
…それより、やっぱり私の見張りという話は本当なんだ。
「…もう、着いてこないでよ。
逃げたりしないから一人にして」
「誰も好きでおめーみたいなやつの見張りなんかしてねぇよ」
「……」
キリがないと思い、もう無視して先を行くことに決めた。
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悪い組織なのだろうけど、施設はかなり整っていて、共同スペースには見たこともないくらい大きな冷蔵庫、そして十分すぎるくらいの飲み物が置いてあった。
体から沢山水分が出たから、とにかく早く喉を潤したい。
冷蔵庫の一番上にあるパインジュースを取りたいけど、私の身長ではどう見ても届かない。近くを見渡しても良さげな椅子もないから、どうしようかと考えていると、後ろから手が伸びてきた。
「…ほら」
少し離れたところに立っていたのに、いつのまにかそばに来ていて代わりに軽々ジュースを取って手渡してくれた。
「…ありがとう……ございます」
「なんで急に敬語なんだよ」
途端に訝しげな顔をしてくるから、また少し笑いそうになった。
「……一応、先輩だし…それに、年上の人は敬わなきゃならないって、お母さんが言ってた」
私が答えると、目を丸くした。
「っ…変なヤツ」
何がそんなにツボだったのか、今度はおかしそうにケラケラと笑う。
「(……なんだか読めない人)」
だけど自然とつられて笑顔になった。
「…俺はピンガだ」
「っむ、?!」
その言葉と共に、不意に頬を軽く摘まれた。
「今日からよろしくな、A」
こうして、口の悪いクソガキとの奇妙な共同生活が始まった。
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柚葉(プロフ) - ルビーさん» 私もそう言っていただけてすごく嬉しいです!! (11月27日 19時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます!嬉しすぎますっ (11月26日 22時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ルビーさん» ルビー様。こんばんは!ご返信が遅くなりすみません…!( ; ; )ひとまず友達のみ公開を外しましたので、見れる状態かと思います…!一旦はこの状態でいこうかと思います! (11月25日 22時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - 何回もごめんなさい!続編の方ログイン限定と出て見れないので何とかしてくれたら幸いです。しつこくてすみません (11月23日 21時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます…!どうしても見たくて、、、笑 (11月23日 20時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年9月17日 22時