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右手がジンジンする。
人をぶったことなんて一度もなくて、緊張からか体が強張って呼吸も荒くなる。
「…っ、あなたがピンガのこと、知ったような口聞かないで」
「っ…」
…だけど、黙っていられなかった。
「確かに、冷たい所もある、任務のためには手段を選ばないところも…」
口にしないだけで、アジトに帰ってきた時の雰囲気から、人を殺めてきたのだと悟ったことも何度かある。
でもそんな時は、意図的に私のそばに来ようとしなかった。
…私が人を傷つけることが何よりも苦手だと、分かっているから。
「でもね…っ、ピンガは、誰よりも優しいの。
優しいところもあるのっ…」
いつもは穏やかなリクくんの顔も、段々と歪んでいって。
「それに、何か勘違いしてるみたいだけど、ピンガは好きで私のそばにいる訳じゃない。…あくまで上から命令されてるだけ」
「そうだとしても…Aちゃんを組織に連れ去って来たのも!あの男だろ!!!
君はきっと、元々こんな場所に縁なんて無い人生を送ってただろうに…
そんな男を庇ったり、ましてや好意を抱いてる君の方が!
余程どうかしてる…!」
「っ…」
ナイフのように鋭いその言葉が、胸に突き刺さった。
「……アイツを部屋に入れることはできるのに、僕の部屋には入れない……
僕の方がAちゃんのことを想っているのに…」
「……。そうだとしても…」
「……」
胸が痛い、もう泣いてしまいたい…
それでも、ここで泣く訳にはいかない。
「たとえそうだとしても、私はピンガのことが大切なの。
ピンガは私にとって、とても大事な人なの。
…その事実だけは変わらない」
「……」
胸がバクバクする。
苦しい。
…ちゃんと私の想いを…ピンガが大切だということを、伝えられたかな。
「…それだけだから。
…今まで仲良くしてくれてありがとう。
さよなら」
震える手を必死に抑えながら、元来た道をまた歩き始めた。
◆
「あ〜…」
言いようのない、怒り、苛立ち…嫉妬。
その場に座り込むと、それらに支配されて。
"拾ってくれてありがとう"
初めて学校で笑顔を向けてくれた時から、ずっとずっと大好きで。
…でも結局、自分が何も言わなければ、彼女にとってそんなこと思い出しすらしない取るに足らない出来事だったのだと。
「……壊してやる」
自分の物にならないのなら、もういっそ、立ち直れないくらい傷つけてやればいい_____
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柚葉(プロフ) - ルビーさん» 私もそう言っていただけてすごく嬉しいです!! (11月27日 19時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます!嬉しすぎますっ (11月26日 22時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ルビーさん» ルビー様。こんばんは!ご返信が遅くなりすみません…!( ; ; )ひとまず友達のみ公開を外しましたので、見れる状態かと思います…!一旦はこの状態でいこうかと思います! (11月25日 22時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - 何回もごめんなさい!続編の方ログイン限定と出て見れないので何とかしてくれたら幸いです。しつこくてすみません (11月23日 21時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます…!どうしても見たくて、、、笑 (11月23日 20時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年9月17日 22時