18*あれはきっと気のせい ページ27
「(…へ、や…?)」
薄ら目を開けると、見慣れた天井が目の前に広がる。
自分の部屋のベッドで横になっているのだと。
薄暗い中で目を凝らすと、そばの椅子でピンガが座っていた。
腕を組んで足を組み、目を閉じ…時折り体を揺らしていて。
もしかして、ずっとそばにいてくれたのかな…。
しばらく見ていると、急にハッと目を開けた。
「…Aっ…目、覚ましたか?」
いつもどんな時も冷静なのに、焦ったように聞いてくるから、思わず笑みが溢れた。
「…うん。…ずっと、いてくれたの?」
「……」
徐々にいつもの様子に変わり、またいつものようにふ、と笑った。
「お前の見張りなんだから当然だろ」
「……」
そうだ、ピンガは本来こんな風に自信ありげに笑う人。
"バカ…端から喧嘩なんてしてねぇよ"
あんな風に優しく私に笑いかけたり、
"そばにいてやるから、早く寝ろ"
優しくおでこにキスしてきたりなんて…
「まだ顔が
「っ!」
何の躊躇いもなく髪を払い額に手を当てられ、"熱はないか"と冷静な顔で。
「何ジロジロ見てんだよ」
「…べつに…」
眉を潜め顔を覗き込んでくる様子からは、とてもアレが現実のこととは思えない。あれはきっと、熱があったから見た夢だったんだ。そう、あれはきっと気のせい…。
「まだ数日任務に出る必要はねぇから、暫く休んでろ」
布団を掛け直され、そのまま立ちあがろうとした。
「…どこ、行くの…?」
「……」
もう行っちゃうの…そう思った時にはその手を掴んでいた。
立ち上がったまま私を見下ろす顔は、一瞬気まずそうな顔に変わった。頬を掻くと、またベッドのそばの椅子に腰掛けた。
「どこって…任務だよ任務。寝るのにもう俺は必要ねぇだろ」
「…私の見張りなのに、病人の私を置いてくの?」
「……」
「…いいの?この隙に逃げちゃうかもよ?」
「……」
行ってほしくなくて、精一杯腕を掴む。
「……たく…いつの間に無駄に知恵付けやがって。
…分かった。寝つくまで居てやるから」
私の腕を取るとそのまま上から布団を掛けられ、"早く目閉じろ"とぶっきらぼうに言われた。
「でもなぁ…急に寝れないし。
あ、そうだ。もうすぐで私15歳になるし、子守唄とか歌ってよ」
「"あ、そうだ"…じゃねぇよ、俺がそんなもん歌うキャラに見えるか」
呆れたように軽くデコピンされた。
「……じゃあ……手、繋いで…?」
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柚葉(プロフ) - ルビーさん» 私もそう言っていただけてすごく嬉しいです!! (11月27日 19時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます!嬉しすぎますっ (11月26日 22時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ルビーさん» ルビー様。こんばんは!ご返信が遅くなりすみません…!( ; ; )ひとまず友達のみ公開を外しましたので、見れる状態かと思います…!一旦はこの状態でいこうかと思います! (11月25日 22時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - 何回もごめんなさい!続編の方ログイン限定と出て見れないので何とかしてくれたら幸いです。しつこくてすみません (11月23日 21時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます…!どうしても見たくて、、、笑 (11月23日 20時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年9月17日 22時