9*嘘が下手な奴 ページ13
いつも通り人の好さそうなツラで、申し訳なさそうに小走りでそばまでやって来た。
「ほら、貸せ」
制服の後ろは砂がつき汚れ、コイツが何かドジを踏んだわけじゃないことはすぐに分かった。そもそも、日頃から理由もなく何かをやらかすタイプでもない。
荷物をその手から引き抜くと、また申し訳なさそうに眉を下げた。
「ごめんね、遅くなって…」
僅かに震えている声、無理やり笑う顔。
「(……嘘が下手な奴)」
これで俺に何もバレてないとでも思っているのか何なのか。
何かあったのかと聞いたところで、意地でも答える奴じゃないこともよく分かっている。
「_____送ってくれてありがとう。
わたし今日は晩ご飯いらないから早く横になるね。また明日」
アジトまで着き部屋の前まで来ると、足早に部屋の中に入って行った。
まるで何も悟らせたくないとでも言うかのように。
「(………たく、めんどくせぇ奴だな)」
いつものお人好しのツラで笑っていないことに、どこかイラつきを覚えた。
そこまでは組織に指示されているわけではない、俺がここまでする義理もない。
それでも何故か、はじめから放っておく気はさらさらなかった。
・
「(……あれ、っ…ない…)」
ピンガに朝いつも通り学校まで送ってもらい、トイレに行って席に戻ってくると、カバンにつけていたウサギのマスコットのストラップが無くなっていた。
弟が自分のクマとお揃いだと、生きている時に最後に誕生日プレゼントとしてくれた、大切な宝物。
「(…なんで…?)」
慌てて必死に周りを探すけど、どこにも見当たらない。
「_____いい気味〜」
「だよね〜」
教室の入り口から聞こえて来た声に目を向けると、あの先輩達がニヤニヤと笑って立っていて。
あの人たちがどこかに持って行ったことはすぐに分かった。
…どうしてこんな酷いことができるのだろう。
私が何をしたって言うの?
私は別にそのリクくんとかいう男の子のことが好きなわけでも、気になってるわけでもなんでもないのに。
私が悪いの?
もうホームルームが始まる時間だったけど、居ても立っても居られなくて、急いで教室を飛び出た。
だけど、どこを探しても、何度探しても、ストラップはどこにも無かった。
授業をすっぽかしたと、放課後に担任の先生に叱られながら、涙を堪えるのに精一杯だった。
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柚葉(プロフ) - ルビーさん» 私もそう言っていただけてすごく嬉しいです!! (11月27日 19時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます!嬉しすぎますっ (11月26日 22時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ルビーさん» ルビー様。こんばんは!ご返信が遅くなりすみません…!( ; ; )ひとまず友達のみ公開を外しましたので、見れる状態かと思います…!一旦はこの状態でいこうかと思います! (11月25日 22時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - 何回もごめんなさい!続編の方ログイン限定と出て見れないので何とかしてくれたら幸いです。しつこくてすみません (11月23日 21時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます…!どうしても見たくて、、、笑 (11月23日 20時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年9月17日 22時