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8*優しさ ページ12




「(……まただ…)」


下駄箱からいつも校内で履いているスリッパを取り出した時、紙が落ちてきた。その中を開くと、"放課後体育館裏に来て"と書いてあって。

もうこれで3回目にもなる。
何故呼ばれたのかは、3回目ともなればよく分かっていて。


「_____あ、来た来たー。ほら、早く来いよ」


行かないとまた教室にまで威張ってやって来るだろうことは分かっているので、大人しく体育館裏まで行った。
勿論、ピンガには遅くなるとすぐにメールだけ送った。


「…あの、何の用ですか?
私から話せることはもう無いって、言いましたよね」


放課後に呼び出されるのは初めてだから、少し身構える。
昼休みとかと違って時間に制限が無いから、次は何をされるのだろうと。


「…その目。お前のその真っ直ぐな目がムカつくのよね…
そうやってリクくんのこともたぶらかしてるんでしょ?」


真ん中のリーダー格の先輩がそう言うと、周りの4人の先輩達もそーだそーだと賛同して。

どうやら、この3年生の女の先輩の好きな人であるリクくんが私と同じ1年生で。そのリクくんが私のことが気になっていると言っていたらしく…私は目をつけられてしまった。


「私はその子と話したこともないですし、もう何も話せることは…、っ!」


真正面から急に肩を押され、盛大に尻餅をついてしまった。

そんな私を見下ろしてケラケラと笑う先輩たち。


「アンタがどうであろうと関係ないワケ。
リクくんがアンタを気に入っている限り、目障りなんだよ。

不登校にでもなってくんない?」


…そんなの、とんだ言いがかりじゃない。

言い返してやりたいけど、どうせまた酷いことを言われると思うと、そんな気力も湧いてこなくて。
私が何もする気がないのを見越しているのか、はやくどっかいけだの消えろだの暴言を好き放題上から浴びせられる。


「とにかく、明日も呼び出すから。
逃げんじゃねーよ」

「じゃ〜ね〜」

「早く汚れた服洗いなね〜?」


そうして、満足したのか5人の先輩は帰って行った。



































滲んできた涙を抑えることができたタイミングで、制服の砂を払い、いつも通り正門前で待つピンガの元へ行った。

遅かったなとか、何してたんだとか、そんな言葉をかけられると思っていた。


「ほら、貸せ」


それなのに、何を言うわけでもなく私の手から鞄を抜き取って。

その優しさに、また涙が滲みそうになったのを必死に堪えた。

9*嘘が下手な奴→←・



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柚葉(プロフ) - ルビーさん» 私もそう言っていただけてすごく嬉しいです!! (11月27日 19時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます!嬉しすぎますっ (11月26日 22時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ルビーさん» ルビー様。こんばんは!ご返信が遅くなりすみません…!( ; ; )ひとまず友達のみ公開を外しましたので、見れる状態かと思います…!一旦はこの状態でいこうかと思います! (11月25日 22時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - 何回もごめんなさい!続編の方ログイン限定と出て見れないので何とかしてくれたら幸いです。しつこくてすみません (11月23日 21時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます…!どうしても見たくて、、、笑 (11月23日 20時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年9月17日 22時

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