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トスン。

「?」

なにかが真人の心に刺さった。その時真人が感じたのはまるで魚の骨が喉に刺さったときのような、およそ致命傷とは程遠い痛みだった。けれど無視することもできず真人は自分の胸に手を当てた。

ぬるり、と胸元に当てた手が滑った。それを感じ取って真人は慌てて自分の胸元を見た。

自分の胸元からは、小さな針の先が頭を覗かせていた。コンクリートの壁の中に埋め込まれていた鉄筋、それが背中からまっすぐ真人を貫いていた。

魂を貫かれていると感じ取った真人は驚き、振り返った。

そこには先ほどまで地面に伏していた少女が立っていた。強く打ち付けられ、平たく地面と接していたはずの顔や胸は赤黒く染まっているものの元の形に戻っており、あちこちあらぬ方向を向いていたはずの手足は今まさにボキボキと音を立てながら修復されていた。

「あ、はは、はははは。あはははははははははは!!!」

喉を震わすたび、少女の口やまだ塞がっていない傷口からゴポゴポと血が溢れた。およそ人間とは思えない姿。呪いよりもずっとおぞましい生き物がそこに立っていた。

確実に再起不能となったはずの少女が復活していると悟って、真人は目を見開いた。

「反転術式?」

「はずれ。」

呆然とそう呟いた真人の耳に、少女のいびつで冷たい声が届いた。

(なんだ、何が起こっている。)

真人は混乱した。こんな事態は初めてだ。真人は全身で少女の魂の熱を感じ取っていた。

先ほどまでマッチ棒の先に宿る火のようにか細い呪力を宿していた少女の体の内側に、炎が宿っている。

心臓を中心に煌々と燃える炎は、上へ上へと昇り、目元に集約していた。赤い炎は集約され濃度を増し、熱を上げ、やがてそれは白く輝きだす。

(これは、なんだ?)

真人はこれを知らない。こんなにも熱く、光り輝くエネルギーの正体を。

熱を帯びた少女のまぶたがゆっくりと開かれる。それを見て、真人は息を飲んだ。

『邪孔開眼』

少女の美しい声が真人の鼓膜と魂を揺さぶる。

開かれた目から溢れ出る白い光を見て真人は初めて見た日の出を思い出した。山々の間からゆっくりと顔を出し、闇を一瞬で切り裂いたあの神々しい光を、真人はその目の中に見た。

『————』

少女の言葉を聞く前に、真人はその光に心臓を射抜かれた。

ドクン、と心臓が大きく一度波打った。それっきり真人の体はすべての生命活動を停止させた。

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しょーどくえき - わ!すっごくおもしろいです!続きがとても楽しみです!頑張ってくださいね! (2021年6月20日 16時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 今は死滅回遊ですよ!!!続きがとても楽しみです!!! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 無気力なおバカさん» コメントありがとうございます!この展開は読者様には不評かも、なんて考えている折だったので、これからの展開が楽しみというお言葉に救われました!更新頑張ります。 (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 糸野さん» コメントありがとうございます!スリルのあるなんて素敵な言葉をいただけて嬉しいです。更新が滞っていますがこれからもドキドキさせられるよう頑張ります! (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです。これからの展開がすごく楽しみです。キャラ達の関係とかもすごく好みです。更新頑張って下さい! (2021年1月2日 3時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月28日 17時

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