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強い力で引っ張られ、闇の外に出る。その景色は先ほど見た、川辺だった。

私を引っ張り出した誰かの方に振り返りながら、私は簪を振るった。

「おや。」

私の簪を避け、後ろに引いたその人は私を見て言った。

「女性でしたか。これは失礼。」

左手を頭の上に回し、右腕で自分の体を抱きしめるようにした謎のポーズを取った男の人は、仁王立ちしながらそう言った。

眉毛の上にピアス、変な髪型、胸元と腰回りをベルトで隠しただけの服。首には蝶ネクタイだけを装着している。

見たこともない服装に、私は目を白黒させた。

「なに、そ、れ。」

また頭がくらっとするような感覚に襲われる。なにそれなにそれ。東京のファッション?予想外。奇抜すぎる、前衛的すぎる。

混乱したままの私をよそにその男は言った。

「我々兄弟に課せられたお遣い……その中に呪術師殺しは含まれていない…退けば見逃しますよお嬢さん。」

「えあ?」

なんとも腑抜けた声を出しながら私はその人を見つめた。えっと、この言葉の意味は……つまり、敵対意思はないってこと?

その人の目を見て、私は思った。

ああ、違うな。この人、私が弱そうだから驕ってるんだ。私なんか相手にしなくてもいいと思ってるんだ。

相手のことを理解してようやく、私は笑った。

「いい、の?」

私は目を細めながら言った。

「戦わなくて、済むなら、それに越したことはない…かな。」

私の言葉にその人もにっこりと微笑んだ。

「ええ。それがよろしい。」

私もその人に笑顔を向け、手をあげた。

「それじゃあ、ここでお別れ、ってことで。バイバー、イ。」

ひらひらと手を振って私はその男の人の前から退いた。その時、急にこの辺りの空気が変わった。

相手の男の人もそれを感じ取ったのだろう。彼は一瞬目を見開いた。

ああ、この感じは……と私も空気の流れを感じ、先ほどまで私が中にいた領域の方を見た。もう伏黒くんと野薔薇の方が終わったんだろう。

だったらなおさらどうでもいいな。この人が野薔薇のところに行かない限りは。

私はそう思って、その人に目を走らせた。

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しょーどくえき - わ!すっごくおもしろいです!続きがとても楽しみです!頑張ってくださいね! (2021年6月20日 16時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 今は死滅回遊ですよ!!!続きがとても楽しみです!!! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 無気力なおバカさん» コメントありがとうございます!この展開は読者様には不評かも、なんて考えている折だったので、これからの展開が楽しみというお言葉に救われました!更新頑張ります。 (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 糸野さん» コメントありがとうございます!スリルのあるなんて素敵な言葉をいただけて嬉しいです。更新が滞っていますがこれからもドキドキさせられるよう頑張ります! (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです。これからの展開がすごく楽しみです。キャラ達の関係とかもすごく好みです。更新頑張って下さい! (2021年1月2日 3時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月28日 17時

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