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「なんだ。いつにも増して辛気くさいな。恵。」
唐突に聞こえてきた、聞き慣れない女の人の声に蝉から視線を外し、前を見ると私たちと同じ制服を見に纏った女生徒が立っていた。
「お通夜かよ。」
「禪院先輩。」
伏黒君がそう呼んだ。禪院先輩と呼ばれた彼女は大きな声でハキハキと答えた。
「私を苗字で呼ぶんじゃねぇ。」
そんな彼女の声を遮るかのように、誰かが「真希、真希!!」と言った。
みんながそちらに視線を向けると、境内の物陰から頭を覗かせている人物が二人。いや、正確には一人と一匹いた。
「まじで死んでるんですよ。昨日!!一年坊が一人!!」
パンダがそう言った。
「おかか!!」
続けて人型の人がそう言った。
パンダの言葉を聞いて、禪院先輩は明らかに動揺した。どうやら本当にお通夜状態なことを知らなかったようだ。
それも無理はないと言えば無理はない。なぜなら私たちはまだ学校に入ったばかり。先輩たちともこれが初めての顔合わせだ。先輩達はおそらく死んだ虎杖くんの顔はおろか、名前すら知らないだろう。
禪院先輩が他の二人と言い合いを始めている間に、呆気にとられていた野薔薇が伏黒君の方を向いた。
「何、あの人達。」
「二年の先輩。」
伏黒君はそう言ってから、三人の説明を始めてくれた。
「禪院先輩。呪具の扱いなら学年一だ。」
続けて伏黒君は人の形をしているもう一人の先輩の方に目を向けた。
「呪言師、狗巻先輩。語彙がおにぎりの具しかない。」
さっきおかかって言ってたのはそれか。
「パンダ先輩。」
最後に伏黒くんはそれだけ言って、三人の説明を終えた。
「あと一人乙骨先輩って唯一手放しで尊敬できる人がいるが、今海外。」
「アンタパンダをパンダで済ませるつもりか。」
「おかか。」
「A、真似しない。」
野薔薇に窘められてしまった。
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柑橘(プロフ) - 尊都さん» ご指摘ありがとうございます!変更させていただきました。またなにかお気づきの点があればコメントください。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 稔米さん» ありがとうございます!五条先生とはギスギスして欲しいのでこのまま緩くやっていきたいです。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - わかたくさん» ありがとうございます。更新頑張ります! (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 五条先生ってみんな下の名前じゃありませんでした? (2020年11月26日 2時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
稔米 - 好き過ぎます!なんかこれから色んな事実が発覚してくのかなーと楽しみにしておりマス!私は五条さんとの絡みが好きです!なんか甘々じゃない感じの…w (2020年11月25日 22時) (レス) id: 861890d0d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月24日 1時