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「それで。」

どかっとベンチに腰掛けながら、虎杖君が聞いた。

「話し言葉に慣れてないって、どうゆうこと?」

虎杖君の横に、伏黒君も腰掛けた。彼も口は出さないけれど気にはなっているようだった。

四人しかいない一年生同士なんだから、ちゃんと話すべきだ。私は意気揚々と口を開いた。

「私、ずっと、ちゃんとおしゃべり、したこと、なくて。ずっとおうちで、は、うーんと、人と、じゃなく、お話ししてた。でも、それはおしゃべりじゃなくて、だからなの。」

さあ、説明したぞと虎杖君と伏黒君の方を見ると、二人とも微妙な顔をしていた。

「あ、れ。」

うまく伝わってない!とわたわたしていると野薔薇が笑った。

「あはは!!A、あんたほんとに説明下手ね!」

「めんぼく、ない。」

「それも変。ふふ。」

野薔薇は息を整えてから、虎杖君と伏黒君の方を向いた。

「ごめん、やっぱ私が説明するわ。つまり、この子はちゃんと人と喋った経験が少ないってことなの。」

「は?」

伏黒君はますますわからん、といった顔で私を見た。

「のりと。」

「のりと?」

私の言葉を虎杖くんが繰り返した。

「そう、祝詞。正確には祓詞が多かったみたいだけど。神社とかで一度は聞いたことがあるんじゃない?祝詞。」

「あー、あるかも。あの眠くなるやつだ。」

虎杖君の言葉に伏黒君は眉を潜めた。野薔薇も少し呆れているけど、無視して話を続ける。

「この子は元いた家でずっとそういったものばっかり読んで、他の子供と喋ったことがなかったからイントネーションとか言葉の区切り方が変なのよ。」

「なるほど。ということは実家は神社か?」

伏黒君の言葉に私は首を横に振った。

「違う。普通、の、家。」

「ならなんで?」

虎杖君の問いに、野薔薇は口をつまらせた。

「私が、特別、だから。」

私の言葉に、三人は目を見開いた。

「私は、まじないの力がある、子供だから。私が、祝詞、唱えたり、家にいる、と、ご利益、あるって、信じてたの。おばさんと、おじさん、は。」

強張ったみんなの表情を緩めるために、私はにっこりと笑いながら言葉を続けた。

「だから、私、外でちゃ、駄目。外界の、下賤な言葉、覚えちゃ駄目、だったの。」

私が言い終えると同時に、チャイムが鳴った。

キーンコーンカーンコーン、と規則的な音を聴きながら私は虎杖君と伏黒君に笑いかけた。

「今度は、ちゃんと、伝わっ、た?」

二人は強張った顔のまま、ゆっくりと頷いた。

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柑橘(プロフ) - 尊都さん» ご指摘ありがとうございます!変更させていただきました。またなにかお気づきの点があればコメントください。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 稔米さん» ありがとうございます!五条先生とはギスギスして欲しいのでこのまま緩くやっていきたいです。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - わかたくさん» ありがとうございます。更新頑張ります! (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 五条先生ってみんな下の名前じゃありませんでした? (2020年11月26日 2時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
稔米 - 好き過ぎます!なんかこれから色んな事実が発覚してくのかなーと楽しみにしておりマス!私は五条さんとの絡みが好きです!なんか甘々じゃない感じの…w (2020年11月25日 22時) (レス) id: 861890d0d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月24日 1時

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