想定外は思わぬもの ｢E｣ ページ28
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｢私、里親が決まったんだって。｣
そんな事は断じてない。唐突に嘘をついてみる。どんな反応をするのかな、とただ純粋に気になっただけだ。
エマもノーマンも祝福してくれる。あと一年もすれば12歳だから、自分もそろそろだと勘づいてはいるのだけれど。
｢良かったね！…でもママもなんにも言ってくれないんだね、こんなにめでたいのに！｣
｢朝言われたから、多分急だったんじゃないかな。まだあと二週間はここに居るんだけど。｣
とんとんと嘘をつく。こんなにも自分の口からでまかせが出てくるとは思っていなかった。
『皆と離れたくない』なんて、言えるわけないなぁ。その言葉は私が本当にこのハウスを出る時まで取っておく。本心は言いたくない。
｢そっかぁ…Aもいなくなるんだね。｣
｢寂しくなるね、僕らいつも一緒だったのに。｣
そんなに言われたら、今度は嘘だ、と言えなくなってしまう。取り返しがつかなくなる前にネタばらししないといけないな、そんな事を考える。
すこし森を眺めて余所見をしていたら、誰のものともつかない嗚咽が聞こえた。『誰かが泣いている』そう思って庭を見ても、妹弟たちは誰も泣いている様子はない。｢エマ、大丈夫だよ｣というノーマンの声で、やっとそちらに振り返る。エマの綺麗な瞳から、大きな涙が流れているのに目が止まる。
エマの泣く姿を随分と久しぶりに見た気がする。
なんて呑気な事を考える暇もない事に、後になって気付いた。おいおい、『取り返しがつかなくなる』というのはこのことを指すんじゃないか？
｢え、エマ、泣かないで、ほんとごめん、嘘だから……｣
途端にノーマンの顔色が変わる。怒らせてしまったかもしれない。ノーマンはエマが好きだものね…好きな人を泣かせたとなら、私はもしかして助からないかもしれない。当のエマ本人は私が言った｢嘘｣という言葉も気づかないほどに、幼い子供のように泣く。
｢泣かないで、悪かったから！｣
こんな事になるとは想定していなかった。ママが来て怒られる前に、早く！
考えるより先に体が動く。
気づけばエマを抱きしめていた。嘘だ。ごめん。と弁解する気持ちで謝る。その言葉に気付いたエマは、｢よかったぁ！」と笑いながらまた涙を溜める。
｢悪かったわよ｣そんな思いでノーマンを盗み見れば笑顔で、ようやくほっと一息をつけた。
愛されていると感じながらも、もう嘘なんてつかないと心に決めた。
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エイプリルフールには間に合わない
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蜜柑の樹(プロフ) - ヤシの実さん» ありがとうございます！ノーマンサイド…成程、またいつか書かせて頂きますね、ご意見ありがとうございます！凄く嬉しいです。是非今後とも応援よろしくお願いします！ (2019年3月20日 22時) (
レス) id: ece34a1d58 (このIDを非表示/違反報告)
ヤシの実 - 初めまして！「作戦の行方〜」と「君の幸せを〜」が大好きです！！レイサイド切なかったです、、、ノーマンサイドもお時間があれば読んでみたいな〜と思ったり(笑) 勿論！他の作品もとても素敵でした^^* 更新楽しみに待ってます！ (2019年3月19日 21時) (レス) id: ad6942667d (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑の樹(プロフ) - moca.sararenonさん» おわああああ！めっちゃ嬉しいです！更新…はい。頑張ります！(ちょっとテストだったもので…(言い訳)) (2019年3月2日 17時) (レス) id: ece34a1d58 (このIDを非表示/違反報告)
moca.sararenon(プロフ) - とっても面白いです！！！！更新頑張ってください！すごく読みやすくて、一気に読んでしまいましたああ！更新頑張ってください！ (2019年3月1日 15時) (レス) id: 86f2d024d7 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑の樹(プロフ) - 暁ーあかつきーさん» 早速ありがとうございます！ご期待に添えるよう頑張ります！ (2019年2月5日 22時) (レス) id: ece34a1d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑の樹 | 作成日時：2018年8月8日 11時
