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新しい職場に何とか慣れを感じ始めた4月の終わり、もうほとんど散ってしまった桜を横目に帰宅する。
定時に帰れた喜びを噛み締めながら一人暮らしの自宅の扉を開けると、扉の裏の郵便受けに不在票が入っていた。
配達業者に連絡して改めて不在票を見ると差出人の所には母の名前…仕送りだろうか。

程なくしてインターホンがなり荷物を受け取る。

大きめのダンボールは重く、同時に母の愛の重さも感じた。
慎重にダンボールを開けるとその殆どはレトルト食品や缶詰だった。一人暮らしをしてこのようなすぐ食べられるものの有り難さが身に染みる。
食料品とは別に区切られたプチプチに包まれた何かを発見して、私は思わずそれを手に取った。

なんだこれ？

プチプチをリズミカルに潰しながらも包を外す。
中から出てきたのは私が学生時代ハマっていたテレビゲームのソフトと攻略法をメモしていたノートだった。

｢なっ…つかし…｣

思わず独り言が零れるくらいには驚いて、同時に懐かしい気持ちになる。
しかしお母さんがこのノートも共に入れたとなると少し恥ずかしい。

パラパラとノートをめくると暗い学生時代が蘇る様だった。
別に後悔はしていないが。
あの頃はネットの友達の方がリアルの友達より多かった。みんな元気にしているのだろうか。

肝心のゲームは本体はDVD再生の為に今の家に持ってきてあったのでプレイしようと思えばできる状況だった。

私はコンタクトを外してブルーライトカットの眼鏡をつける。懐かしいパッケージを開けて、本体へとディスクをセットした。
ブーンと機械音がして、懐かしいOPが流れ始める。

そういえば。

このゲームが本当に大好きすぎて色々調べたなぁ。もちろん攻略法は見たし、イラストも検索した。その過程でプレイ動画もでてきて、ゲーム実況なるものがあることを知ったっけ。

残っていたデータを立ち上げながら、ふと、私があの時好きだった実況者はまだ活動しているのだろうか。そんなことが頭に浮かんで、スマホを手に取る。

ジャック・オ・蘭たん

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