ただ、昔みたいに...【文スト】【男主】

『最弱』の第２２話 ページ24

地下牢にいた人に中也の名前と要件を伝えると、あっさり通して貰えた





『……久作？』





地下牢の廊下を歩く


久作の名前を呼ぶと、その声が反響して何重にも重なって聞こえる





『久作、居ないの？』





久作の返事が聞こえない

任務にでも行っているのだろうか？






『久作〜？どこ？僕だよ、修治だよ』






カタンと音が鳴る


音の方に近付いてみる


そこには、少し身長が伸びた久作がいた






『久作！！』





久作｢…お兄さん？｣





『そうだよ！久しぶり、久作！！』





久作｢久しぶり、お兄さん｣





ん？なんか久作怒ってない…？


少し早口だし、目を合わせてくれない





『久作、僕、何かした？』





久作｢…なんでもない｣





『でも…』






久作｢なんでもないもん！！｣





『そ、そう…？けど…うーん…

じゃあ、なんで怒ってるかだけ、教えて？』






久作｢僕は怒ってない！！｣





ほっぺを膨らましながら言われる


え、怒ってないの…？






久作｢ただ…寂しかっただけ…だもん｣





寂しかった…？


そっか、いくら精神系の異能力者でポートマフィアに所属してても、久作はまだ小さい子供


誰も話してくれない、目も合わせてくれない、怖がられる


そんなの、寂しいに決まってる




あぁ、久作も連れて逃げたら良かった…






『ごめんね、久作…寂しい思いもさせちゃったね…

けど、これからは毎日会えるよ！』






久作｢なんで…？お兄さんはポートマフィアを抜けたんでしょ？｣






『ちょっとポートマフィアに戻ることになっちゃった！』






ニコリと笑いながら言う


久作の顔が少し強ばる


そんなにも怖い顔してたのかな…？






久作｢そ、そうなんだ…お兄さん、その笑顔やめて？
太宰さんを見ているみたいで嫌だ｣







『え、マジ？

それは嫌だな、早くやめよう』





真顔に戻る

兄さんと似ているとか、死んでもゴメンだ






中也｢修治、任務だ｣






中也さんがやってくる

あぁ、もう久作とお別れか







『またね、久作。 今度はお菓子を持ってくるから！』






久作｢ばいばい、お兄さん！！お菓子、買ってきてね！｣






ひらひらと手を振ると、手を振り返してくれた


絶対にお菓子買って帰ろう




あー、任務嫌だなぁ…


中也と2人で任務かな？


はぁ、憂鬱だ


お菓子を食べて喜んでいる久作の姿を想像して、この憂鬱な気持ちを無理矢理振り払った

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