ヌナは僕のもの (ページ14)

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14. ページ14

《You》

ダンスの練習途中から、少し目眩がして

身体に力が余り入らなかった。

朝から少し体調は悪かったけど、

今日はスングァンくんとご飯に行くからって

頑張った。

けど、結局途中で目の前が真っ暗になって

意識がなくなった。

小学生や中学生のころ、

先生や男子からちやほやされ、

女子からいじめられたり、ハブられたりした。

だから、この顔が嫌いだった。

私は誰かにちやほやなんかされたいわけじゃない。

ただ、たくさんの友達と笑って過ごしたかっただけなのに。

そんな私をずっと支えてくれたのは

私のお兄ちゃん、テヒョンオッパだった。

「お前には俺がいるから。大丈夫」

「Aは必ずたくさんの人を笑顔にさせる、

そういう人になるよ」

そういっていつも笑ってくれた。

オッパが練習生になってから、

私も追いかけるようにモデルとして芸能界デビューした。

たくさんの人が私のファンだと言ってくれて

初めて自分の顔が好きになれた。

ずっと心の支えだったテヒョンオッパは

いつしか遠い存在になっていて

嬉しい半面、寂しかった。

真っ暗な中にひとり。

テヒョンオッパを探すけど、どこにもいなくて

泣きそうになった時

そっと握られた左手。

ぱっと横を見るけど

何故か顔はあまり見えなくて

でも心がだんだん温かくなり、

そっとその人が私の顔に近づいてきて

あともう少しでってところで目が覚めた。

でもまだぎゅっと握られた左手。

横を見るとそこにはスングァンくんがいて

すごくほっと安心する自分がいた。

私よりひとまわり大きな身体で

ぎゅっと私を抱きしめて、

「僕、Aヌナのことが好き」

そう、はっきりと彼は言った。

彼の顔をみると

少し頬を赤くして

すごくうるうるとした目をしていた。

私の気持ちに迷いなんてものはなく

彼の気持ちに応えるように

ぎゅっと力ずよく抱きしめて

『私も、好き』

そう、はっきりと言った。

「ほんと？！

やっぱりうそとかなしだからね？！」

そういって騒ぎ出すスングァンくんは

やっぱり可愛くて。

『スングァンくんこそ、

取り消しなんてなしだからね？』

そう耳元でささやくと、

案の定、顔を真っ赤にしていた。