第7話 ページ7
「あー、疲れた…」
特別何にもしてないはずなのに、どっと疲れた体を、そのままベッドになだれこんだ。
久しぶりに慣れ親しんだクラブに行って、気持ちを少しでもリフレッシュするつもりだったのに…
そこで出会った不思議な女性の事で、今の僕の頭の中はいっぱいだった。
もちろん好きとかの感情はこれっぽっちもない。
…僕はまだ彩奈の事を愛してるし。
彩奈の気持ちがまた僕に向いてくれるんだったら、今度こそもっと彼女のことを大切にして、一生添い遂げたいって思ってるくらいだ。
でも、そのためにどうすればいいのか…
その大きなヒントを彼女は分かっているんじゃないかって直感的に思ったんだ。
「でも、私に関わらない方がいいって、どういう意味なんだろ…」
そう言った時のAさんの表情は。
ほんの一瞬だったけど、とても寂しげに見えた。
「こっちもそんな時間があるわけじゃないからな…
何とか糸口だけでもつかんで、日本に帰らなきゃ」
ふぅとため息をついて目を閉じると、鮮明に蘇る彩奈の後ろ姿。
何も受け付けない、声すらかけられなかった背中…
絶対、もう一度振り向かせてみせる。
そう決意を新たにして、僕は熱いシャワーを浴びるためにバスルームに向かった。
次の日。
僕はまた昼過ぎからクリケットクラブへ向かった
こっちにきてるからって氷から離れると鈍っちゃうから。
そんなもっともらしい言い訳をブライアンにしながら。
『まぁ、好きなだけいるといいよ。
ここの方がユヅルものんびりできるだろうしね』
相変わらず僕の一番に理解者なブライアンはそんなやさしい言葉をかけてくれた。
他の子達が休んでる時間をもらって、自分の練習を始める。
やっぱり氷の上は好きだ。
いろんなモヤモヤも、この一瞬は忘れられる気がする。
ちょっと飛んでみるか、と4回転を踏み切ってみたんだけど、ちょっとのズレがあったのか、勢いよく転んでしまった。
「あー、くっそー…」
練習着についた氷を振り払っていると、誰かの視線に気づいた。
「Aさん…!」
そう言うと、彼女はちょっと驚いたようにリンクから出て行ってしまった。
もちろん僕も慌ててスケート靴を脱いで、彼女の後を追いかけた。
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かりん。(プロフ) - 鹿さん» コメントありがとうございます!つい作者の心の闇が漏れて、重いテーマになっちゃうんですよねσ^_^; またちょっとネタ練ってみますので、よかったらまたお付き合いください(^ ^) (2018年3月27日 16時) (レス) id: 9714919c1c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - お久しぶりです^^なかなかご意見ほどではないのですが、テーマが重すぎて私なら続けるのがしんどいですね〜。さくっとした軽い内容のお話をかかれては??どんな作品でも読みにまいりますけども!^^ (2018年3月27日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
かりん。(プロフ) - 心菜さん» いつもコメントありがとうございます!実際そういう感覚があると、やっぱり辛いですよね…この後もそんなシーンが出てくるかもしれませんが、嫌じゃなければ、引き続きお付き合いくださいね(^^) 3日目の演技、つべで見ました!もう、心鷲掴みされましたよ!(笑) (2017年6月5日 19時) (レス) id: 8481dc9fe3 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - そうですね。私も体調と場所次第なのですが、見えてしまうことがあるので、主人公ちゃんの気持ちはよくわかります。況してや人の残留思念は擬似体験になるので、きつい…。3日目の演技はYouTubeにupされてますよ?どっぷり浸ってくださーい (2017年6月5日 18時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
かりん。(プロフ) - 心菜さん» いつもコメントありがとうございます!見たくないものが見えちゃうのも辛いですからね。主人公ちゃんとどう絡んでいくか…手探りで頑張ります(笑) 浸れるならどっぷり浸りまくりでいいんですよ〜!私は録画をリピして浸ります(/ _ ; ) (2017年6月4日 7時) (レス) id: 8481dc9fe3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かりん。 | 作成日時:2017年5月17日 19時