４６話 ページ49
．
ガラガラ、と食堂のドアを開ける。
すると、さっきまでドア越しで聞こえていたガヤガヤという話し声は、すぐにひそひそという私の噂話へと変わっていった。
……そうだった。
昨日の、及川さんのおかげで、セッターとリベロの人たちは許してくれたけど、それ以外はまだ私の事悪い人認識している人の方が多いのか。
というか、第二体育館に居た人達ほぼだね。
だってあの時、セッターとリベロが風呂だったもん。
まあ、落ち込みはしないよ。少しだけ視線は怖いけど。
そう、心の中で強がっていると、右手をギュッと握られた。
「……大丈夫。Aちゃんは強いから！」
顔を覗いてきながら、微笑んで、仁花がそう言ってくれる、
「私は何があったのか聞かされてないけど……私達がついてるから。」
舞さんも左手を握って、そう言ってくれる。
『……そうですね。ありがとうございます。』
涙がこぼれそうになるのを我慢して、口角を上げてそう言う。
『おし！入口邪魔になるので早く座りましょ？清水先輩達の席も取っておかないと！』
実は来る途中、一緒に座ろと約束していたのだ。
「そうだね！早く座ろー。」
「あ！あそこ空いてますよ！丁度６席。」
『そんじゃ、あそこ行きましょー』
そう言いながらも私達は移動する。
ちなみに私は今度も壁沿い。
で、後ろは青城の皆。
青城……マネージャー……。
『あ。そういや、植野さんってどこにいるんですか？昨日の夜から姿見てない気がするんですけど……』
やっべ。自分が鋭い視線投げかけられるようになった原因の人を今まで忘れてたわ。
「あー……あの子は、一人部屋。なんか、Aちゃんと一緒の部屋こわーいとか言ってたよ。」
『マジっすか。私何にもしてない……あ、してましたわそういや。』
あれは事故だ。
というか、舞さん凄いよね。普通に植野の事ちょっとだけ悪く言ったよ。裏声で。
笑いそうなったわ。
植野セコムが湧きそう。うじゃうじゃと。
そんな事を思っていると……
「お前、結月の事悪く言うなよ。」
『……うげ。』
「はぁ？」
待って。まさかのやはばんかよ。
なんでや。お前チャラくても先輩は尊敬するんだよとか言ってたじゃねえか。
あの時クッソカッコいいとか思ったのに……まさかの……ねえ。
お前青葉城西やろ。植野の事知っとるんじゃないんかよ。
ちゃんとは仕事してないけどまあ仕事してるし目の保養なるからいいや的な？
……おい。ちょっと表出ろや。
．。．
※全てAさんの想像です。
．。．
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作者名：柚子胡椒 | 作成日時：2018年12月6日 18時
