来世もまた恋をしよう。【萩原研二】 (ページ9)

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「(今日は長い1日だったな…)」

事情聴取があったり、萩原くん達とお友達になったり…

「(…みんな、ほんとに楽しい人だよね)」

今日の帰り道だけでも、みんなが口を開けば何かと面白いことを言い合って、時には何かを言い合って、そして、とても仲が良いことが分かった。

"だって俺、Aちゃんのこと好きになっちゃったからさ"

真面目に伝えてくれたのは勿論分かったけれど…あれはきっと、"友達になろう"とか、"友達として仲良くなれそう"とかそういう類のものだよね。
そうだそうだ、あんな女の子にモテモテな感じの人が、私のことを恋愛的な意味で好きになるはずはない…。

ベッドに寝転びながら何となくぼーっと天井を見上げていると、スマホが振動した。
何となくたった今考えていた人かもしれないと思い、いつもよりはやる気持ちでスマホをタップする。

"Aちゃん、今日はありがとう。
また明日ね、おやすみ"

また明日ね…って…明日も連絡をするってことなのかな。

「(っふ…ほんと、不思議で何だか可愛らしい)」

…子犬みたい。

私もメッセージを送り、目を閉じた。
何だかいつもより、安心して眠りにつくことができた。

・

「_____おはよー、A」

「あ、おはようお兄ちゃん」

寝ぼけ眼でリビングのドアを開けてきた兄に、いつも通り朝の挨拶を交わす。

「今日の朝は簡単にフレンチトーストにさせてもらったよ。
冷蔵庫からサラダとオレンジジュース出してもらっても…っ、」

急に肩に顎を乗せてきて、不意打ちの行動に言葉に詰まる。
兄はたまに…というか、ほぼ毎日、何だかんだで距離が近い。

「もう何？どうしたの…？」

平静を装うけど、昔からこの行動には面食らってしまう。
…私に対して全く意味がないものだと分かっていても。

「もうすぐで愛しいAとの生活も終わりかーって思うと、なんか寂しくなってさ」

「……」

フレンチトーストをお皿に盛り付けていると、ふとそんなことを言ってきた。

「何言ってるの、可愛いお嫁さん貰うんだから…
そんなこと言ってられないよ？」

さりげなくお兄ちゃんから距離を取り、テーブルにお皿を運ぶ。
これが私の、精一杯の行動。

「はは、そうだな。…でもA、Aはいつまでも俺の大切な…"本当の"家族だからな？」

「……。…うん、ありがとうお兄ちゃん」

今日もまた、私はその笑顔で胸が苦しくなる。

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