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「だって俺、Aちゃんのこと好きになっちゃったからさ」

「ああ、私のことを…そうゆうこと…
…ぅえ?!どうゆうこと〜?!?!」


訳が分からない言葉に思わず立ち止まると、私の後ろを歩いていた松田くんと軽くぶつかってしまった。

よろけた私を転ばないように支えてくれた松田くんは呆れ顔で、他のみんなは口をあんぐり開けて。
私もきっと、間抜けヅラをしているだろう。

それなのに、萩原くんだけ照れくさそうに頭を掻いていて。


「俺は本気だよ」

「……」


真っ直ぐ見てくるその表情から目を逸らせず。
確かに、そのどストレートな言葉からも、本気だということは分かる。

だけど、まだ出会ってほんの一週間。
イケメンはこんなにもスピード感に溢れているのか…


「萩原、流石にそりゃないだろ…?
…Aさん戸惑ってるぞ。お前はもうちょっと時と場所を選べ…」

「そうだよ萩原…。
この中で唯一彼女がいる班長の言う通りにした方がいいよ」


なんだか的外れな天然発言をしている諸伏くんが、"気にしないでね"と顔を覗き込んできて、"はあ…"としか言えず。


「だからさ、Aちゃん。まずは連絡先を交換して欲しいなって…友達から始めるのは、どうかな…?」


いやいや萩原くん、あなた、お友達の話をまんじりとも聞いてないんだけれども。


「ど、どうかなって………てか、その前に顔近い…です…」


油断してるとすぐに距離が近くなって、それだけじゃなく私の手を両手で大事そうに握ってきて。
何だろう、萩原くんはきっと、誰に対してもパーソナルスペースが狭いのだろう…うん、そうに違いない。


「ごめんごめん、つい…」


眉を下げてははっと笑うけれど、どう見ても申し訳なさそうには見えない。
…こんなど直球で、自分の理解の範疇を超えた不思議な人、見たことないよ。


「ふ…」

「おい、どうしたんだよAさん」

 
松田くんが引いたような目で見てくるけれど、それでも堪えられなかった。


「ふはっ……萩原くんって、なんだか得体の知れない子犬みたい…」

「「…得体の知れない子犬…っ?」」


みんなが不思議そうな顔で見てくるけれど、笑いは止まらない。


「分かったよ。私たち、お友達になろう」

「えっ、本当(マジ)でいいの?」

「うん、マジだよ」

「っうし!」


自分で言ったくせに、目を丸くして驚いて、すぐにガッツポーズをした。

今日、私は愉快なお友達が1日で5人もできた。

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年10月16日 0時

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