来世もまた恋をしよう。【萩原研二】 (ページ5)

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「萩ー。お前、なーにのほほーんとしてんだよ」

陣平ちゃんの言葉で、ハッと目が覚めた。
"そんなことない"と言い返す前に、ぞろぞろと班長達が周りを囲んできた。

「萩原〜？さては、一昨日会ったあの女の子に惚れたんだろ？」

「え、そうなのか？萩」

「はは、零(ゼロ)は相変わらず鈍いなぁ」

自分を差し置いてワイワイと話し出す3人に、ため息がついて出た。…たく、少しは人の話を聞くそぶりを見せろっての。

「んで、実際のとこどうなんだよ、萩」

隣に腰を下ろし、肘をつきながら覗き込んできた幼馴染は流石だなと。

「…なになに陣平ちゃん〜、俺のことがそんなに気になるって？」

「照れて誤魔化したりせずにちゃんと腹割れよ」

「……」

…どうやら、誤魔化しは効かないらしい。

「…まあ、惚れちゃったね」

「やっぱりな」

「なーんでかなぁ…なんか気づいたらこう、湧いたこともない感情がじわっと胸に…」

付き合いの長い幼馴染には、口をついて言葉が溢れる。
所謂恋バナなど、滅多にしたことがないにもかかわらず。

「見たこともねぇタイプだから、惚れたんじゃねーのか？
大体の女はてめーに惚れるだろ？だから、」

「自分に興味が無さそうな女性が新鮮で惚れた…ってね」

「おい零(ゼロ)！俺のセリフ取るなよ！_____」

残念ながら、陣平ちゃんと降谷ちゃんの推理は間違っている。
別に、自分に興味が無さそうな子だから気になっている訳でも、惚れた訳でもない。

第一、自分に興味が無い女の子なんて、これまで何人かは出会ってきたわけで。
そんな容易い理由ではない…その理由が何なのかは自分でもまだ分からないが。

「萩原、連絡先は聞いたの？」

「…んや、聞いてない…かな」

「おい、何でだよ！それくらい聞いてんのかと思ったぞ」

「そうだよ、それくらい萩原なら聞けるだろ？」

「無茶言うなよ班長、諸伏ちゃん…
…急に距離縮めたら、引かれるかもしれねぇだろ？」

「「……」」

俺の言葉に4人は途端に黙ると、一斉にどっと笑った。

「今更だろ！萩！」

「いつも率先して合コン開いてるような奴の台詞じゃねぇなぁ」

「冗談にしては悪質だな」

「ほんとだよ、萩原」

「……」

陣平ちゃんも班長も零(ゼロ)も諸伏ちゃんも…みんなして人のこと笑いやがって…。

「(……俺は本気(マジ)なんだけど)」

…帰り際に微笑んだあの表情を思い出すだけで……ね。

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