今日:41 hit、昨日:21 hit、合計:119,533 hit
小|中|大
元太くんを守ることを最優先し、人混みをかき分け目視で覚えていた地図を思い出しながら、なんとか垂直式救助袋のところまでやってきた。
私は一度目で見たものは基本的に正確に記憶に残る。…昔はただそれを利用されて暮らしていたけれど、今は役に立つから良かったと心底思った。
「ほんとに俺だけで行くのかよ…?」
「うん、2人ではいけないから。
大丈夫、出口には人もいる…っ時間ないから押すよ!」
もう一度爆発するとしたら、体感ではあと数分だ。
「ぅ、A姉ちゃん、」
元太くんはまだ話したそうだったけど、時間もなかったため、ゆっくりと背中を押した。
・
近くの階段のところまで、なるべく急いで向かった。
運動神経は良くないけど、走って走って走った。
…あと少しというところで微かな音が聞こえ、直後に地面が揺れた。
「っわ…!」
揺れと共にバランスを崩し、壁にぶつかると思って目を瞑ったけど、自分の体が壁をすり抜けた気がした。
「(嘘でしょ…っ)」
偶然扉が開いていたエレベーターの中に、ギャグみたく体を投げ飛ばされた。
・
「いたっ…」
エレベーターの壁で体を強く打ち、衝撃の強さからすぐに立ち上がることができない。
扉が開いているうちに出なきゃと腕を伸ばすけど、視界が歪む。
「ッ…」
何もできずにいると、すぐに扉が勢いよくバタンと閉まり、エレベーターが箱ごと幾らか下に落ちた。
今度は地面が斜めになり、また壁に体を打ち付けられた。
「(私、死ぬのかな…)」
あんなに死ぬことを何とも思っていなかったのに、死にたくないなんて、らしくないことを思って視界が暗くなった。
・
"_____A、お前も銃の扱い方くらい覚えろよ。
そんなんじゃ呆気なく死んじまうぞ"
懐かしい声がした。
"俺は今からスパイとして潜入する。
ま、少なくとも5年は潜入するだろうな。
それで俺は誰よりものし上がる、勿論、ジンよりもな_____"
何であの人の声が聞こえるのだろう。
…ねえ、私を置いていかないで。
"___Aさん…!!!!"
聞き覚えのある声、焦ったような声色。
「___聞こえますか?!Aさん…!」
「っは…」
うなされていた長い夢から覚めた。
真っ先に目に飛び込んできたのは、大粒の汗をかいて焦った顔をしている安室さんだった。
「(…そんな顔も、するんだ…)」
少し笑って見せると、安心したように笑い返してくれた。
8. ページ9
元太くんを守ることを最優先し、人混みをかき分け目視で覚えていた地図を思い出しながら、なんとか垂直式救助袋のところまでやってきた。
私は一度目で見たものは基本的に正確に記憶に残る。…昔はただそれを利用されて暮らしていたけれど、今は役に立つから良かったと心底思った。
「ほんとに俺だけで行くのかよ…?」
「うん、2人ではいけないから。
大丈夫、出口には人もいる…っ時間ないから押すよ!」
もう一度爆発するとしたら、体感ではあと数分だ。
「ぅ、A姉ちゃん、」
元太くんはまだ話したそうだったけど、時間もなかったため、ゆっくりと背中を押した。
・
近くの階段のところまで、なるべく急いで向かった。
運動神経は良くないけど、走って走って走った。
…あと少しというところで微かな音が聞こえ、直後に地面が揺れた。
「っわ…!」
揺れと共にバランスを崩し、壁にぶつかると思って目を瞑ったけど、自分の体が壁をすり抜けた気がした。
「(嘘でしょ…っ)」
偶然扉が開いていたエレベーターの中に、ギャグみたく体を投げ飛ばされた。
・
「いたっ…」
エレベーターの壁で体を強く打ち、衝撃の強さからすぐに立ち上がることができない。
扉が開いているうちに出なきゃと腕を伸ばすけど、視界が歪む。
「ッ…」
何もできずにいると、すぐに扉が勢いよくバタンと閉まり、エレベーターが箱ごと幾らか下に落ちた。
今度は地面が斜めになり、また壁に体を打ち付けられた。
「(私、死ぬのかな…)」
あんなに死ぬことを何とも思っていなかったのに、死にたくないなんて、らしくないことを思って視界が暗くなった。
・
"_____A、お前も銃の扱い方くらい覚えろよ。
そんなんじゃ呆気なく死んじまうぞ"
懐かしい声がした。
"俺は今からスパイとして潜入する。
ま、少なくとも5年は潜入するだろうな。
それで俺は誰よりものし上がる、勿論、ジンよりもな_____"
何であの人の声が聞こえるのだろう。
…ねえ、私を置いていかないで。
"___Aさん…!!!!"
聞き覚えのある声、焦ったような声色。
「___聞こえますか?!Aさん…!」
「っは…」
うなされていた長い夢から覚めた。
真っ先に目に飛び込んできたのは、大粒の汗をかいて焦った顔をしている安室さんだった。
「(…そんな顔も、するんだ…)」
少し笑って見せると、安心したように笑い返してくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
274人がお気に入り
274人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時