今日:3 hit、昨日:21 hit、合計:119,495 hit
小｜中｜大
「えー！良いのかよA姉ちゃん！」
「もちろん！でも、パパやママにはちゃんと私と行くことや時間を伝えてね」
「「やったー！！！」」
みんなはすぐに当日の予定をあーでもないこーでもないと話し出し、私のスマホに連絡先を登録すると「また話そうー！」と元気よく帰って行った。
「Aさん、本当に良いんですか？
大学生は普段から忙しいと思いますが…」
安室さんはそう言いながらまたコーヒーを運んできてくれて。
いつの間にかお店には私と安室さんだけになっていた。
「とんでもないです。お礼と言っては何ですが、安室さんには病院に運んでもらったりお世話になったので…
…あれ、でもそれだと安室さんへのお礼にはならないか。
す、すみません、安室さんへのお礼はまた今度っていうことで…！」
私の焦っている様子を見て、安室さんはまた可笑しそうにくすくすと笑った。
「はは、お気になさらず…またお店に来てくださったらそれで十分です」
「いえ、そんな…！それに私、この前のことをまだきちんとお礼を言えてませんでしたよね。
助けてくださってありがとうございました、安室さん」
「……」
そう伝えると、"僕は何もしてませんから"と、一瞬だけ初めて出会った時のような憂いを含んだ目をした気がした。
・
外はすっかり暗くなっていて、帰路につくサラリーマンの声や大学生の声でざわざわと賑やかで。
「そうだAさん」
ドアを開けて外まで見送ってくれた安室さんは、さっきまで笑って話をしていたのに、急に真剣な顔になった。
「来週のイベント、終わったらなるべく早く子どもたちと帰ってください。14時にイベントは終わるので、14時半には杯戸ショッピングモールを…」
「どうしてですか？」
今までと違って淡々と話し続ける姿は少し怖さすら感じ、聞き返さずにはいられなかった。
「ほら、15時に有名な政治家が演説に来るとかで、人が多くなると予想できますから。子どもたちが迷子にならないためにも、」
「…そんな取って付けた理由は要らないです」
なんとなく、そんな単純な理由ではないと。
「…とにかく、僕の言う通りに。
それでも何かあれば、いつでも連絡を」
そう言うと、安室さんはまたいつもの人懐っこい笑顔になった。
可愛らしい笑顔、優しい表情、警察のような真剣な表情…
一体この人は何者なんだろう…そんな考えが、この日から私の中に棲みついて離れなかった。
5. ページ6
「えー！良いのかよA姉ちゃん！」
「もちろん！でも、パパやママにはちゃんと私と行くことや時間を伝えてね」
「「やったー！！！」」
みんなはすぐに当日の予定をあーでもないこーでもないと話し出し、私のスマホに連絡先を登録すると「また話そうー！」と元気よく帰って行った。
「Aさん、本当に良いんですか？
大学生は普段から忙しいと思いますが…」
安室さんはそう言いながらまたコーヒーを運んできてくれて。
いつの間にかお店には私と安室さんだけになっていた。
「とんでもないです。お礼と言っては何ですが、安室さんには病院に運んでもらったりお世話になったので…
…あれ、でもそれだと安室さんへのお礼にはならないか。
す、すみません、安室さんへのお礼はまた今度っていうことで…！」
私の焦っている様子を見て、安室さんはまた可笑しそうにくすくすと笑った。
「はは、お気になさらず…またお店に来てくださったらそれで十分です」
「いえ、そんな…！それに私、この前のことをまだきちんとお礼を言えてませんでしたよね。
助けてくださってありがとうございました、安室さん」
「……」
そう伝えると、"僕は何もしてませんから"と、一瞬だけ初めて出会った時のような憂いを含んだ目をした気がした。
・
外はすっかり暗くなっていて、帰路につくサラリーマンの声や大学生の声でざわざわと賑やかで。
「そうだAさん」
ドアを開けて外まで見送ってくれた安室さんは、さっきまで笑って話をしていたのに、急に真剣な顔になった。
「来週のイベント、終わったらなるべく早く子どもたちと帰ってください。14時にイベントは終わるので、14時半には杯戸ショッピングモールを…」
「どうしてですか？」
今までと違って淡々と話し続ける姿は少し怖さすら感じ、聞き返さずにはいられなかった。
「ほら、15時に有名な政治家が演説に来るとかで、人が多くなると予想できますから。子どもたちが迷子にならないためにも、」
「…そんな取って付けた理由は要らないです」
なんとなく、そんな単純な理由ではないと。
「…とにかく、僕の言う通りに。
それでも何かあれば、いつでも連絡を」
そう言うと、安室さんはまたいつもの人懐っこい笑顔になった。
可愛らしい笑顔、優しい表情、警察のような真剣な表情…
一体この人は何者なんだろう…そんな考えが、この日から私の中に棲みついて離れなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 274人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます！すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます！まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします！いかがでしょうか？ (8月25日 18時) (
レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ２個目を読みたいンですけど無理でしょうか？パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚葉 | 作成日時：2023年6月18日 14時
