探偵から見たその女* ページ49
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「さ、遠慮なく食べて、蘭ちゃん、コナンくん…」
気まずそうな顔をしているのは、しばらく前に知り合った、AAという
偶然出会ったビール祭りで俺たちに迷惑をかけてしまったから、お詫びを兼ねてご馳走させてくれと…3人で高めの飲食店までやってきた。
「Aさん、わざわざすみません…
ほんとに気にしなくて大丈夫だったんですよ…?」
「っそんなわけにはいかないよ、蘭ちゃん…!
私ってば、本当にもう、あの日は…」
そこまで言うと、顔を覆いまた絵に描いたように沈んだ様子を見せた。
一見、とても明るく素直な人間。
いや、実際に天真爛漫で、子どもたちにも優しく、比較的周りからも好かれるような人柄。
「_____とにかく、2人とも今日は思う存分食べてね…!
はい、コナンくんメニュー!」
「あ、ありがとう、Aお姉ちゃん」
「ううん!頼みたいものがある時は、すぐに教えてね」
俺を見てニコッと笑った顔からは、とても暗い影は見えない。
それでも、Aさんは絶対に組織に関わりのある人間だと妙な確信があった。
・
初めて出会った時に目にした聴力の良さ。
本人は隠しているようだが、ふとした瞬間に、視力と記憶力がずば抜けていることも分かった。…思うに、例えばその能力を利用されていた過去があるのではないかと。
少し前に安室さんにも聞いたが、"彼女には一切探りを入れるな"といつになく真剣に牽制された。
「あ、Aさん首元に糸が付いてるよ?
僕が取ってあげるー!」
「へ?うそ?取ってくれるの?」
「うんうん!」
ゴミを取るふりしてさりげなく襟に手を伸ばし盗聴器を付けようとしたが、絶妙なタイミングで髪に指を通し、「ありがとう」と頬を緩めた。
やはり、この身のこなしや直感は普通に生きてきた人間のものではない。
「_____俺さ、次はコーンロウにしたいんだよなぁ」
Aさんは、後ろのテーブルから聞こえてきた声に、不意に体を揺らした。
「_____え。あのロープみたいな髪型?」
「おい、ロープって何だよ!_____」
「……」
…時折り、今のように陰のある雰囲気を見せる瞬間がある。
悪い人間な訳はないはずなのに、何故組織と関わりを持つようになったのか。
「コナンくん、美味しい?」
黙っていたが、一転してニコッと笑い頭を撫でてきたこの人の正体は一体…解き明かすには、まだまだ時間がかかりそうだ。
探偵から見たその女 Fin
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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時