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46. ページ47




「……つ、ついに後2本…」


風見さんの言葉に、3人で顔を見合わす。

もう1本切れば、爆弾解除ができるというところまできた。
…残りは、透明に近い透けた白色と黒色。


「今までのAさんの記憶のままいけば、白色ですね」

「…いや、待って…」


風見さんが白色の線を手にしたけど、その手に触れて止める。

何か違和感を感じる。…ただ、一気に知識や情報を頭に詰め込んだから、思い出すことに頭が疲れてきて、すぐに頭が働かない。
久しぶりに少し頭痛がして、頭がズキズキしてくる。


「…ゆっくりで大丈夫」


強く頭を押さえていたけど、その手をそっと取り、握られた。


「は、はい…」


突然の行動に、しかも急に手が触れ合って別の緊張が襲う。
…私の鼓動が手から伝わってしまうんじゃないかと思うくらい。

でも、手から伝わってくる温もりに、不思議と心が落ち着いてきた。


「…全ての資料に目を通して覚えたけど、一つデータに矛盾があることに気づいて…恐らく、最後の2本になった時に仕掛ける罠じゃないかなって…。

海外を飛び回る手強い相手らしいですし…。

今まで通りいけば、風見さんの言うように白色だけど、私の考えが正しければ…間違いなく黒です」


言ったは良いけど、不安にもなる。
もし間違っていたら…。


「でも、もしも間違っていたら…3人ともっ…」

「信じるよ」


僅かに握られている手の力が強くなった。


「ここまで命をかけてやってくれたんだ。
僕も風見も、Aさんを信じるよ」

「……」


命がかかっているのに、こんな時でも笑っている。
きっと、いつどんな時も覚悟を持って、この国に命をかけているからだ。

風見さんを見ると、彼もまた力強く頷いてくれた。


「ドンと来いです。

……最後はAさんが」


そうして、ペンチを手渡された。

繋いでいた手を離し、黒色の線を手に取る。
ゆっくり深呼吸をして、ペンチを導線にかけた。

神様仏様、どうか安室さんや風見さんを…。


「(助けてくださいっ…)」











「取れた…?」


切って数秒間何も起きず……
安室さんの首についていた爆弾がカチャっと取れた。


「やった…!」


お互いに笑顔で頷き、すぐに風見さんを見た。


「ね、風見さ…」

「降谷さん…よか、た…」

「ええ?!風見さん…!!!」


風見さんは疲れが出たのか、喜びを分かち合う間もなく、バターンと絵に描いたように倒れた。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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